つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB2006G220701

放 射 線 生 物 学     Radiation Biology

科目番号: G22 0701
単位数: 1単位
標準履修年次: 2・3年
実施学期 曜時限: 第1学期 金曜日 2時限
担当教員: 小林 克己


授業概要:
 放射線(紫外線を含む)は現代人の社会活動になくてはならないものであるが、一方で過剰に被曝すると生物に対して悪影響があることが知られている。また、自然界の放射線や太陽からの紫外線などによって進化が進んだとも言われている。生物学的には、現在の分子生物学の発展に放射線の利用は不可欠であったといえる。しかしながら放射線の生物に対する効果の発現機構はまだ多くの解明すべき点が残されている。本講義では、放射線が生物に影響を及ぼすまでの一連の過程を理解し、放射線に対する正しい知識を持ってもらうことを目的として、放射線照射によって引き起こされる物理的過程、化学的過程、生化学的過程、生物的過程について概観する。最後に人間に対する影響について紹介して、放射線防護の立場から、放射線のリスクの考え方、実際の放射線管理基準についても紹介する。

授業内容:
(1)放射線生物学の歴史、意義、考え方。現代社会と放射線のかかわり。
(2)放射線の本質、およびその物理的性質。
(3)放射線と物質の相互作用。
(4)放射線の計測法と放射線量の単位。
(5)放射線照射によって生じるラジカル。水の放射線化学。
(6)紫外線と物質の相互作用。
(7)生体構成分子に生じる分子変化(損傷)。
(8)生物が持つ損傷の修復機構。
(9)細胞および多細胞生物の放射線に対する感受性
(10)人間に対するリスク。天然放射線と環境基準。

前提科目・履修上の注意事項:
あらかじめ履修すべき科目はないが、高校レベルの物理と生物の知識を前提とする。

単位取得条件、成績評価基準: 講義内容の暗記ではなく理解を確認する試験を行う。(ノートなど持ち込み不可)

指定教科書: 本講義では教科書は使わないが、ハンドアウトを用意する。

参考書・文献:
キーファー著(代谷訳)『放射線生物学』、シュプリンガー・フェアラク東京

オフィスアワー:
特に設けないが、あらかじめ連絡を下さい。
場所:高エネルギー加速器研究機構 放射光研究施設 研究棟405室  
(Tel: 0298-64-5655 E-mail: katsumi.kobayashi@kek.jp)

備考(受講学生に望むこと): なし


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