つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB200607AO.

特集:大学説明会

学生による大学説明 ―3、4年生の授業体験と教職課程―

奥田 麻子(筑波大学 生物学類)

 私からは3、4年生の授業体験と教職課程について紹介します。

 3年の1〜2学期は、2年次と大きくは変わりなく、専門的な生物の授業・実験を履修します。4年次で卒業研究に集中するため、3年までに卒業単位の大半を履修するのが一般的です。

 3年次は、卒業研究を行う研究室を決めていく大事な時期となります。研究室を決める際は、研究室訪問を行い、研究内容や研究室の雰囲気など総合的に判断して研究室を決定していきます。私は履修した授業や実験の印象なども含めて、好きな分野がはっきりしていたのであまり悩みませんでしたが、周囲ではかなり悩む人もいました。大半の人が自分の希望通りの研究室に決まったように思います。

 3年の3学期には必修科目の「生物学演習」があります。生物学演習では、希望する研究室の先生の指導のもとで関連論文や文献を読み、卒業研究の予備知識を深めます。研究室により課題はまちまちですが、私は関連する英語論文を週に1本読み、レポートにまとめていきました。生物学演習は、卒業研究の方向性や具体的な計画などを立てていくという目的があります。生物学演習とは別に、私は3年の3学期から週1回の研究室のセミナーに参加し、卒業研究の準備を始めていきました。

 4年の4月から正式に研究室に配属され、卒業研究が始まります。2年生から3年生になるときの変化はあまり大きくありませんが、3年生から4年生に上がると、生活はがらりと変わります。3年生までは、講義、実験ともにどちらかというと大人数で受動的なものでした。しかし、4年生になるとそういった受動的ではなく、研究室に通い卒業研究をする、という個人での活動となっていきます。

 私は希望通り、学類長の佐藤先生にご指導いただき、植物生理学研究室に所属することが決まりました。私の研究室は総勢20人のメンバーとなっています。研究室により人数はまちまちですが、先生方を始め、博士課程を修了しているポストドクター、大学院生といった専門的知識・技術を持った先輩方の指導のもとで卒業研究をすることができます。大学生としては最上学年ですが、研究室の中では一番の新人!ということで、覚えること、勉強することがたくさんあります。例えば、試薬一つにしても、広い実験室内のどこにあるか、廃棄物の処理など基本的なことから一つ一つ教えていただきます。そして少しずつ、自分の研究ができるようになっていきます。4年生の最後には卒研発表会があります。学会形式でスライドを作り、1年間の成果を発表します。現在、4年生はこの卒研発表会に向けて頑張っている最中です。毎日研究室に通い、自分の手で研究を進めていくのはとても大変ですが、とても充実感があり楽しいです。

 私はこの筑波大学生物学類の良いところは、少人数制をとっていることだと思います。生物系の私立大学に通う友人から、一つの研究室に20〜30人同学年が所属しているということを聞き、とても驚きました。私の研究室では、今年の新人は二名。それだけ手厚い指導やアドバイスをいただくことができます。中にいると気づきにくいものですが、かなり恵まれた環境だと思いました。

 話は変わりますが、私は教職課程を履修しました。教員免許を取得するためのコースで、生物学類では中学校・高校の理科の免許取得が可能となっています。生物学類の卒業単位とは別に、教職課程の単位をとることで免許が取得できます。中学校の免許の方が取得しなければならない単位が多いため、中学校の教職課程をとれば、自動的に高校の免許が取得可能です。私の学年では、約80人の生物学類生の中で、20人弱がこの課程を履修しています。

 教職課程には、理科の指導法から憲法、道徳まで幅広く教育に関する単位を取得します。また、この課程には介護体験なども含まれています。社会福祉施設に行き手伝いをしたり、盲学校、聾学校の行事の補助をします。そうした実習では車いすの押し方や、目の不自由な人の誘導の仕方を習いました。こういった体験は今までほとんどすることがありませんでしたし、この先もそういった機会はなかったかもしれません。とても貴重な体験となりました。

 教職課程の総仕上げとして、3週間の教育実習があります。私は4年の5月に実習を行いました。筑波大学では大学の付属中学校、高校で教育実習をするのが普通ですが、手続きを踏めば、母校での実習も可能です。私の場合は母校の神奈川の県立高校で実習をさせていただきました。生物T、生物Uの合計3クラス(週6コマ)を担当し、実際に授業をします。まだまだ知識も足りない大学生ですが、生徒は「先生」として接してくるので気は抜けません。怒濤の3週間でしたが、責任を持って人の前に立つこと、物事を教えること、得たものはとても大きかったと思います。

 卒業後の進路の選択肢の一つということで教職課程を紹介しました。地方自治体では教員採用を増加している現状です。興味のある人は教職課程の取得をお勧めします。


学生による大学説明 授業・教職について

Communicated by Shinobu Satoh, Received August 11, 2006.

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