つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB200607TH.

特集:大学説明会

教育課程、卒業後の進路等の説明

濱  健夫(筑波大学 生命環境科学研究科)

 筑波大学生物学類は、1学年80名と、他の大学には例を見ない多数の学生さんを受け入れています。この様な多くの学生さんを引き受けられるのは、50名に及ぶ専任のスタッフが教育・研究に携わっているからです。また、生物学類ではその運営に対して、学類生が積極的に参加していることも特徴の一つで、大学説明会の開催を始め、学類パンフレットや学類紹介ビデオ等の作成にあたっても、多くの協力が得られてきています。教員・学生が一体となって、より良い生物学類を目指す意識を強く持っています。

 生物学類のカリキュラムには様々な特徴があります。多様な生物学に対応した幅広い教育体制は言うまでもありませんが、その他にも英語教育、早期卒業制度、そしてイギリスのマンチェスター大学との交換留学制度などが上げられます。また、次年度(平成19年度)からは、生物学の発展に合わせて、新しい専門教育のコース編成による教育を計画しています。
それでは、生物学類のカリキュラムの特徴の幾つかを、詳しく説明します。

英語教育

 生物学類生は卒業生の8割が大学院へ進学することから分かる様に、多くの学生が研究者への道を意識しています。研究を進める際にまず行うべき事は何でしょうか。まずは、自分が目指す研究について、世界の状況を知ることが必要ですが、それらのほとんどは英語で書かれています。専門的な英語を読む能力が必要となるのです。また、貴重な研究結果が得られた際には、今度は世界にアピールする必要があります。つまり、今度は英語で研究内容を発表しなければなりません。さらに、国際学会などで発表したり外国人研究者と交流をする場合は、聞く・話すといった能力も必要となります。この様に、英語は研究を進めるにあたって、必須の能力となっています。生物学類では、一年時から生物に関連した英語の教育を始め、学生数数名の少数教育や、外国人教師による授業などを織り交ぜ、皆さんに真の英語力をつけて頂くように工夫しています。また、TOEICやTOEFLの実践的な英語評価システムの必要性も重要視し、外部から講師を招いて授業を開講しています。

早期卒業制度

 生物学類では成績が優秀な学生が3年間の履修で卒業可能な、早期卒業制度を整えています。3年次終了までに卒業に必要な単位を修得していることや、修得した単位の多くが優秀な成績を収めている事が条件となります。

マンチェスター大学交換留学生制度

 生物学類ではイギリスのマンチェスター大学との交流協定を締結しています。マンチェスター大学は150年以上の歴史を誇っており、これまで20名のノーベル賞受賞者を輩出しており、イギリスでも有数の大学の一つです。このマンチェスタ−大学生物科学部との交流協定は1999に開始され、毎年3名の留学生を派遣しています。留学は3年にあるいは4年次の9月から翌年の6月までのほぼ1年間に渡りますが、この間、講義を聴講し、また研究室に所属し研究を行うことができます。交流協定による留学が、一般の留学と異なる点の主なものは、1)マンチェスター大学での取得単位は生物学類の単位として認められること、2)マンチェスター大学での入学料・授業料は不要なこと、3)留学中も筑波大学での在籍期間となること、等です。このため、3年次の9月から4年次の6月まで留学した場合は、留年せずに4年間で卒業することが可能です。留学生の選抜は、国際的に活躍できる人材を育てることを基本としており、面接により申請者の意欲を知ると共に、期末試験の成績やTOEFLのスコアを基準とします。申請は2年次および3年次の9月〜10月にかけて実施され、選抜された場合は翌年の9月からの留学となります。先に述べた早期卒業制度を含めて、取得単位数やその成績が大きく影響しますので、希望者は入学時からしっかり勉強し、良い成績を収めておくことが必要です。

専門教育における5つのコース

 生物学類の1年次では主として生物学全般に渡る基礎教育を受けます。それをもとにして、学生さんは自分の興味に沿って、より専門的な教育を受けるため、2年次以降に所属するコースを選択します。このコース選択は一年次の後半に行います。コースは多様性コース、情報コース、分子細胞コース、応用生物コース、そして人間生物コースの5つです。これらのコースの詳細については、この紙面では省略しますが、生物学類紹介パンフレットやホームページを参考にして下さい。

多くの研究分野と教員数

 2・3年次で専門教育を学んだ後、4年次では特定の教員の指導のもとに卒業研究を行います。筑波大学生物学類では50名を越える教員が多様な研究分野で活躍していますので、必ずや自分の興味をもつ研究を行っている研究室に所属できるものと思います。なお、大学説明会では、生物学類に所属する教員の多くが研究紹介を行っています。自分が興味を持つ研究を行っている研究者と直接話ができ、また実験等を体験できる良いチャンスですので、午後の施設見学には是非参加して下さい。

実験センター

 筑波大学には生物学類の教育・研究をサポートする実験センターが3つあります。一つ目は静岡県の下田臨海実験センター、二つ目は長野県の菅平高原実験センターです。これらの二つの実験センターでは、幾つかの学生実習が行われています。また、実験センターに所属する教員のもとで卒業研究を行う場合には、両センターに常駐することも可能です。一方、筑波キャンパス内には遺伝子実験センターがあり、遺伝子の研究に関する施設、機器が集中的に配置されています。

卒業後の進路

 筑波大学生物学類生の進路の特徴は、高い進学率です。生物学類から大学院に進学する学生の割合は8割に達しており、筑波大学の中でも最も高い進学率を誇っています。生物学類生の研究に対する高い意識の表れだと言って良いでしょう。大学院は2年間の修士課程とその後の3年間の博士課程に分けられますが、修士課程を修了した院生の7割程度(学類卒業生の半分強)が、企業などの研究者や教員として就職します。修士課程修了生の3割(学類卒業生の2割程度)が博士課程に進学し、博士号を取得した後、大学の教員や国公立研究機関の研究員道を歩むことになります。

 生物学類の教員は、生物学について先進的な研究を進めると共に、将来の生物学の研究・教育を担う人材の育成に、情熱を持って取り組んでいます。是非、生物学類に入学し、私たちと一緒に、生物学類を発展させて行きましょう。

 
大学説明会 教育課程の説明

Contributed by Takeo Hama, Received August 2, 2006.

©2006 筑波大学生物学類