つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB200607TS.

特集:大学説明会

大学説明会に参加して

新行内 隆明(筑波大学 生物学類)

 私の担当は模擬講義のアシストだった。気になった事として、タイムテーブルがずれたのにも関わらず模擬講義室の外に張ってある時間表なるものに、講義の時間変更などに関することが何も書かれなかった事である。これでは時間を誤解してしまう見学者も多いのではないだろうか。改善することはこれぐらいだろう。講義全体に関してだが、私はこのやり方でいいと思う。講義する内容も素晴らしいものばかりで、こちらはお釣りが必要なくらいである。

 反省会でも誰かが発言していたが、この行事はほぼ完璧に仕上がりつつあるのではないだろうか。細かな欠点はあるかも知れないが、致命的な欠点は全くない気がする。ただ一つだけ、私から言わせてもらいたい。それは、総合A棟が分かりにくいという事である。総合A棟へ行く機会はそんなに無いから、生物学類一年生とて総合A棟が分からない人も案外多い。今回の説明会の初日の反省会でこういった意見が出て、次の日は改善されて総合A棟へ行った見学者の数が増えた事からも、総合A棟が分かりにくいのは明らかである。H棟を出てから総合A等まで、看板一つくらい用意したほうがよいのではないだろうか。

 私はこの大学説明会には思い入れがある。実を言うと、この説明会に参加するのは三回目なのだ。受験生時代に二回この行事に参加している。その証拠として、一昨年の説明会の写真にも、去年の説明会の映像にも私が写っている。受験生として参加したときには、午後の研究展示よりも、午前の説明会の方に関心が大きかったのを覚えている。しかし今回、学類生として参加してみると、午後の研究展示に強い関心を覚えた。いっそ、生物学類生全員に見てもらいたい。この大学説明会という行事は、受験生に大学を紹介し興味を持ってもらう行事だが、学類生をも魅了するほど質の高いものなのである。

 三年連続で参加しているから言えるのだが、質が毎年向上してきていると思う。それはきっと、学類生や教職員の意見を多く取り入れているからであろう。私は説明会の準備の際、参加する見学者の気持ちになって考え準備した。彼らはどこに注目するか、どこに何を置けば分かりやすいか等を十分に考慮したつもりだ。こう思っていたのは、私だけでは無いだろう。おそらく、ほとんどの人がそう思っていたはずだ。でなければ、このような質の高い説明会は成し得ない。

 最後に、これだけは言わせてほしい。私はこの説明会に感謝している。この行事が無かったら、私は恐らくこの大学にはいなかっただろう。二年前この行事に参加し、たちまち魅了され志望校を変更するに至り、時間はかかったが今この学類にいる。こういった経緯でうちの学類に来た人は、案外いるのではないだろうか。そして、今回参加した事で、私は普段ではなかなか見られない各先生の素晴らしい研究を見ることが出来た。スタッフであることを忘れ、見学者に混じって楽しんだりもした。こんな楽しい経験、なかなか出来るものでは無い。生物学を学ぶ人間として、とても有意義な二日間だった。説明会の仕事を面倒くさいと言ってやろうともしなかった学生に、某H先生ではないが、『ざまぁみろ』とでも言ってやりたい気分である。


大学説明会会場までの誘導

Communicated by Shinobu Satoh, Received August 6, 2006.

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