つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB200607YM.

特集:大学説明会

マンチェスター大学留学交換留学体験談

松本 結実(筑波大学 生物学類 平成17年度卒業)

 筑波大学生物学類マンチェスター大学交換留学制度について、私の体験談をさせていただきたいと思います。私は2004年8月から205年7月までの約1年間イギリスのマンチェスターに交換留学していました。

 まずはマンチェスターについて説明します。
 マンチェスターはイングランド北西部に位置する、人口約30万人の都市です。もともとは工業都市として発達しましたが、現在は学生の街として栄えています。日本で購入できるもののほとんどが街で購入できたり、博物館・美術館等も充実していたりと、非常に発達した都市である一方、町の中心部でも公園や緑がたくさんあり、のどかな風景を望むこともできます。

 次に具体的な留学の時期について説明します。
 留学時期は、交換留学協定校であるマンチェスター大学の年度にあわせて、筑波大学の3年、もしくは4年生の夏から約一年間留学することができます。私は三年生で留学したのですが、留学が許可されるまでには学類内での選考を受ける必要があります。留学希望者は、留学希望学年の前の年(私の場合は2年生)の2・3学期に選考にかけられます。一次選考では英語の試験(TOEFL等)の結果・大学の授業の成績・志望理由書で、二次試験では6・7名の教官との面接(英語での質疑応答やスピーチも含まれます)で、選抜を受けます。例年数名の志願者がおり、そのうち3名までがマンチェスターに留学することができます。留学が決定した後は諸手続をして渡英した後、任意の語学学校・オリエンテーションコースに参加し、9月からマンチェスターでの1学期目から大学に通います。12月のクリスマス休暇をはさみ、2学期となり、途中、3月下旬にイースター休暇をはさみますが、6月上旬までが学期期間になります。これまでの留学者は6月下旬ごろ日本に帰国し、帰国報告会で、自らの体験談をします。以上がマンチェスター大学交換留学の全体の流れです。これからこれらの内容を詳しく説明していきます。

1、語学学校・オリエンテーションコースについて
 先ほども紹介しましたように、両者とも任意で参加できるコースです。私はマンチェスター大学が開講している語学学校に一ヶ月間通い、英語に慣れ親しみました。
オリエンテーションコースとは、マンチェスター大学の留学生援助団体が主催している、留学生のためのコースで、イギリスでの生活の仕方、授業のとり方、大学にある施設・団体等の情報を得ることができます。
これら二つのコースのメリットとしては、学期が始まる前に実際でイギリスで生活できる、何か問題が起こったとき、誰に相談したらよいのかがわかる、イギリス以外の国際的な友人が多数できる、ということがあげられます。

2、学期中の様子について
 学期中は授業を受けるか、研究室に所属して実験をするか、のどちらかが選べます。
授業を受ける場合には、一コマ2時間の授業を周3コマ受けることが推奨されます。これだけ聞くと、週に6時間しか授業を受けない怠惰な学生のように聞こえますが、大学の授業では、教科書に書いてあることは自分で読んで知っていることが授業を受ける前提とされています。授業ではそれらの情報から、実際の研究分野にどのように応用されているかを知ることや、教科書には載っていないような重要な情報を得ることが目的とされています。そのため、予習・復習の時間を考えると、これ以上の授業を受講することは大変困難であることが予測できると思います。
一方、研究室に所属する場合は朝9時から夕方5時まで実験室におり、週に一度大きなセミナーに参加します。このセミナーでは、国内外から第一線で活躍している研究者を招待し、彼らの行っている最先端の研究概要を聞くことができます。このほかにも、自分の実験結果を紹介するセミナーや、自分が読んだ論文を紹介するセミナーが各研究室ごとに行われています。
私は研究室所属を選択し、ひとつのプロジェクトをもらって実験をしていました。また、この研究を筑波大学の卒業研究として提出しました。

3、寮生活について
 マンチェスターではフラットという小さな家のようなところを7人から9人でシェアして生活します。ここには、家具付きの6畳ほどの個人の部屋と共有のリビングダイニング、キッチン、お風呂、トイレがあります。私は7人の女の子でフラットをシェアしました。みな社交的で、また一緒にいる時間が長いこともあり、まるで家族のような存在になりました。また、全員が実際に生活するので、文化の違いを肌で感じることができ、たくさんのことが学べる場でもありました。

4、休みの過ごし方について
 さきほどのオリエンテーションコースの説明のところででてきた留学生援助団体がほぼ毎週末、イギリス国内のバス旅行を安価で企画しているので、それらに参加すると国内の名所はほとんどまわることが出来ます。そのため、クリスマスやイースター等の長期休暇では海外旅行を楽しんだりホームステイをする人が多いようです。
 私は、クリスマスには研究室の人の実家にお邪魔させてもらい、イギリス流のクリスマスを過ごしました。また、イースターには友人とスペインに行き、帰国前の夏休みにはフランス・ドイツを旅行しました。様々な人に会い、たくさんの経験が出来ました。

 最後に、この留学のシステムは自分の世界を広げる一つのチャンスです。また、自分の価値観が大きく変化したり、人としても大きく成長することが出来ます。皆さんもぜひ筑波大学の生物学類に入学して、マンチェスター大学に留学してみてください。きっと、すばらしい体験がたくさん待っていますよ。


学生による大学説明 留学について

Communicated by Shinobu Satoh, Received August 28, 2006.

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