つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2007) 6: TJB2007EB15134

理論生物学の基礎 III     Primer of Theoretical Biology III

科目番号: EB15 134
単位数: 1単位
標準履修年次: 1〜3年
実施学期 曜時限: 第3学期 水曜日 3時限
担当教員: 伊藤 希


授業概要:
 論理は全ての学問に不可欠であり、集合は現代数学に不可欠であるが、理論生物学の基礎の理解する上でもこれらは重要である。この講義では情報コース希望者を念頭に置きつつ、生物学類生を対象として集合と論理の概観を二十世紀初頭の数学史に触れつつ述べる。形式論理や集合を使って書かれた数学や情報学の文献を「読もうと思えば読めなくもないかもしれない」と思える様になることを最低限の目標とする。そのため、深く述べるよりは題材を幅広くとり、知らない語を少しでも減らし、聞いた事のない語が現れてもだいたいどの方面の勉強をすれば理解できそうかといういわゆる「土地勘」を身に付ける事を目指す。役に立つかどうかは将来どの様な土地に迷い込むかによるが、迷い込んでから学びはじめたのでは習得する前に餓死してしまう危険性もあるだろう。

授業内容:
(1)素朴集合論
(2)形式論理
(3)命題論理
(4)述語論理
(5)関係
(6)数の構成・無限・連続・位相
(7)公理的集合論
(8)集合論的生物学
(9)グラフ・束
(10)直観主義、公理主義、不完全性定理、様相論理授業内容は目安であり、トピックに応じて多少の変更がある。受講者の平均的レベルに応じ一部の内容を省略することがある。

前提科目・履修上の注意事項:

履修は生物学類生に限る。20名程度を上限とし、必要に応じ履修制限のための事前評価を行なう事がある。情報コース希望者を優先する。
「理論生物学の基礎」の他の科目の履修を前提とはしない。
高校程度の数学を履修している事は前提とするが、十分に身に付いていることまでは要求しない。不安があれば「新入生のための数学序説」高崎金久(2001) 実教出版 ISBN 4407024194 などをあらかじめ読んでおくのもよいだろう。

単位取得条件、成績評価基準:
毎回の授業で与える課題および学期末試験の成績の加重平均と、出席率との積をもとに評価を行なう。授業中の質問、議論等は加点対象とする。授業冒頭に課題を与えるので、遅刻はそのまま成績に反映される。

指定教科書: 
数学のロジックと集合論、田中 一之・鈴木 登志雄 (2003)、培風館 ISBN 4563003379 正誤表は下記を参照。 http://www.comp.metro-u.ac.jp/~suzumath/book/logic2003/sugakunologic.html 内容は適宜取捨選択する。

参考書・文献:
1)論理と代数の基礎、硲文夫 (2003) 培風館 ISBN 4563003352
2)情報科学における論理、小野 寛晰 (1994)、日本評論社 ISBN 4535608148
3)集合とはなにか、竹内 外史 (2001)、講談社ブルーバックス ISBN 4062573326
4)無限論の教室、野矢茂樹 (1998)、講談社現代新書 ISBN 4061494201
5)「論理哲学論講」を読む、野矢茂樹 (2002)、哲学書房 ISBN 488679078X
6)論理学、野矢茂樹 (1994)、東京大学出版会 ISBN 4130120530
7)動物分類学の論理、馬渡峻輔 (1994)、東京大学出版会 ISBN 4130601571
8)シリーズ進化学 1 マクロ進化と全生物の系統分類、佐藤矩行他 (2004)、岩波書店 ISBN 4000069217
9)21 世紀の動物科学 第2巻「動物の多様性」、片倉晴雄・馬渡駿輔編 (2007)、培風館

オフィスアワー:
特に定めない。事前連絡が望ましい。生物農林学系棟 B811 (電話4768)
E-mail: nozomi AT biol.tsukuba.ac.jp

備考(受講学生に望むこと): 質問、議論等積極的な参加を求める。


©2007 筑波大学生物学類