つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2007) 6 TJB2007G110901

水 圏 生 態 学     Aquatic Ecology

科目番号: G11 0901
単位数: 2単位
標準履修年次: 2・3年(本年度で終了する予定)
実施学期 曜時限: 第2学期 集中
担当教員: 濱 健夫


授業概要: 
 海洋・湖沼・河川などの水圏に生息する生物群は、その物質代謝を通して、有機物を生産、変換、分解、輸送している。本授業では、地球表層の約7割を占める海洋を対象として、海洋における物質循環について理解を深めるとともに、生息する生物群集の物質代謝および物質循環における役割を中心に話を進める。また、近年危惧される地球温暖化と関連し、地球表層の炭素循環に対する海洋の役割と水圏生物の関わりについてもふれる。

授業内容:
(1)生物の物質代謝と物質循環 −生物の生命活動は生態系における物質・ エネルギーの動きにどう関わるのか−
(2)深層流と物質循環 −全世界の海洋を片道2000年かけて旅する深層流は海洋の物質循環とどう関わっているのか−
(3)有機物の生産過程 1)植物プランクトンの分布と水塊構造 −なぜ海洋の植物プランクトンは、氷の浮かぶ冷たい海に豊富に存在し、暖かい海には少ないのか−
(4)有機物の生産過程 2)陸・空と海洋の有機物生産 −陸から、空から供給される物質は、海洋の生産量にどの程度影響を与えているのか−
(5)食物連鎖と有機物の分解 捕食連鎖と微生物連鎖 −海洋の食物連鎖では、なぜ細菌類が重要な鍵になっているのか−
(6)安定同位体比による生態系の解析 −黙って測ればぴたりと当たる? 安定同位体比によりなぜ食物や栄養段階が分かるのか−
(7)有機物の鉛直輸送 −海洋表層から海底方向に有機物を輸送する物体は、海に降る動物プランクトンの糞の雨だった−
(8)地球温暖化と海洋生物 1)温暖化のメカニズム −大気中二酸化炭素濃度の増加は、どうして地球温暖化を招くのか−
(9)地球温暖化と海洋生物 2)大気−陸上−海洋の炭素循環 −大気を含む地球表層の炭素循環に、海洋生態系はどう関わっているのか−
(10)空−陸−海 森と海のつながり −海の漁場を守るために、漁師はなぜ山に木を植えるのか そして海も森を支えている?−

前提科目・履修上の注意事項:

単位取得条件、成績評価基準: 学期末の論述試験と出席状況による。

指定教科書: なし。プリントによる。

参考書・文献:
1)水と生命の生態学(日高敏隆編)講談社
2)生物海洋学(高橋・古谷・石丸 監訳)東海大学出版会

オフィス・アワー:
月・水・金曜日の午前。生物農林学系棟B617(Tel.7261)
メールによる問い合わせも歓迎(thama@biol.tsukuba.ac.jp)

備考(受講学生に望むこと):


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