1. フタリシズカ (Chloranthus serratus). 2. チャラン (Chloranthus spicatus).
有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 センリョウ目
センリョウ科 Chloranthaceae Lindley nom. cons.
Synonym: ヘディオスムム科 Hedyosmaceae Caruel

常緑性の草本または低木。多年性または1年性。維管束形成層による二次成長を行う。 茎は柔らかく、表面にコルク層あり。材は層階状。放射組織は6-7列。導管要素端は斜形で階段穿孔をもつが、センリョウ属には穿孔がない (導管を欠く)。ときに繊維仮導管、libriform fiber が存在。木部に随伴柔組織をもつ。篩管要素の葉緑体はS型。 節はしばしば膨れ、1葉隙1~2葉跡、または3葉隙3葉跡。

葉は単葉で対生するが、節間が縮小して偽輪生になるものもある。畳まれ方は二つ折 (チャラン属)。葉縁には鋸歯 (Chloranthoid型) がある。羽状脈をもち、脈端の転送細胞を欠く (チャラン属)。ふつう向軸側に下皮がある。葉柄は基部で合着するか鞘状になる。小さなさや状の葉間托葉がある。葉は宿存性の基部分裂組織を欠く。 crystalloidクチクラワックスを欠く。気孔タイプはさまざま。精油細胞をもつ。ときに粘液を含んだ分泌道をもつ。ときに厚壁異形細胞をもつ (ヘディオスムム属)。

小さな花が集まった穂状花序または集散花序が頂生または腋生する。花は両性または単性 (雌雄同株または異株)、左右相称。1または3枚の苞葉をもつ。 ふつう花被を欠くが、ヘディオスムム属の雌花には3枚1輪の花被がある。 雄しべは1~2個 (まれに3~5個)、ふつう雌しべの背軸側につく。やや扁平または糸状。チャラン属では雄しべは1個で3裂 (または3個が合着?)。葯の表皮は宿存性。内被細胞には縞状肥厚が発達する。葯は当初は1層以上の中間層をもつ。葯は縦裂または縦弁開。小胞子形成は同時型。花粉四分子は双同側型または四面体型。花粉は2細胞性。発芽孔は1 (~6) または無し、溝粒または孔粒。 雌しべは1個、1心皮性。柱頭は乾性または湿性、グループ2タイプ。花柱はごく短い。子房は上位または半下位、1室で1個の胚珠が頂生~亜頂生胎座につく。倒生胚珠。厚層型珠心で珠皮は2枚。外珠皮は4~8細胞層 (アスカリナ属では2細胞層)、内珠皮は7~10細胞層 (ときに3細胞層)。珠孔は両珠皮性または内珠皮性。核帽あり。胚嚢発生はタデ型。反足細胞は3個、ときに40個以上に増加。助細胞は洋梨型。おそらく虫媒花だが一部は風媒花。

果実は核果または漿果、小さく球形~楕円形。果実は1個の球形の種子を含む。外種皮内層または中層が木化。内珠皮はときに崩壊。内胚乳形成は造壁型。油性の内胚乳が多く (デンプンも含む)、外胚乳も有する。胚発生はonagradまたはchenopodiad。胚は小さいが分化しており、子葉は2枚。

染色体数 n = 8, 14, 15。貯蔵デンプンはシダ型。プロアンソシアニジン、フラボノール、エラグ酸を欠く。セシキテルペン、ネオリグナンをもつ。蓚酸カルシウムを欠く。アルミニウム蓄積能を欠く。

4属約75種が知られ、東~東南アジア、西太平洋諸島、中央・南アメリカ、マダガスカルの熱帯域から温帯域に分布する。ヘディオスムム属 (Hedyosmum 約45種)、チャラン属 (Chloranthus 約15種)、アスカリナ属 (Ascarina 約10種) およびセンリョウ属 (Sarcandra 約3種) がある。この4属間の関係は Hedyosmum [Ascarina [Chloranthus + Sarcandra]]。化石記録は古く、前期白亜紀にさかのぼる。

チャラン (Chloranthus spicatus) はハーブや薬用また観賞用として東アジアから東南アジアで用いられている。日本ではセンリョウ (Sarcandra glabra) の赤い果実が正月の飾りとして用いられる。またチャラン属やセンリョウ属、ヘディオスムム属のいくつかの種も香料・香辛料・薬用として利用される。