有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 コショウ目
コショウ科 Piperaceae

草本または低木でつる性や着生性のものも多い。精油細胞やアルカロイドをもつ。フラボノール、タンニンを欠く。導管にはふつう単純な穿孔がある。茎の維管束は二輪状または散在状に分布する。形成層はstoried。外皮層にコルク組織あり。毛は単純。葉はやや肉厚でふつう互生(ときに対生または輪生)、単葉、全縁で腺点をもつ。葉脈は羽状。托葉は葉柄と合着してさや状になるかこれを欠く。

枝先、葉腋または葉と反対側に多肉質の穂状花序をつくり、小さな花を密につける。花は放射相称で両性花または単性花(雌雄異株または同株)。花は小さく、杯状または楯状の包葉の腋につく。花被を欠く。蜜腺を欠く。雄しべは1〜10個(ふつう2または3 + 3個)、葯は側向、花糸は明瞭。花粉は単溝粒または無口粒、テクタムをもつ。心皮は1〜4枚、合生。子房上位で基底胎座、各雌しべに直生胚珠が1個だけある。珠皮は1〜2枚。胚嚢はtetrasporic。 虫媒花で自家不和合性。

果実は漿果または核果で種子を1個含む。種子は小さな胚、少量の内胚乳(デンプン質)、多量の外胚乳をもつ。

熱帯から亜熱帯にかけて広く生育する。6属(人によって5〜12属)約2000種が知られる比較的大きなグループ。ほとんどの種はコショウ属(Piper、1000種)かサダソウ属(Peperomia、1000種)に属する。コショウ(Piper nigrum)は最も身近な香辛料の1つであり、人類の歴史にも密接な関わりを持ってきた。ほかにもコショウ属の数種の果実は香辛料になる。またキンマ(P. betle)やカヴァ(P. methysticum)のように嗜好品として利用されるものもある。サダソウ属のいくつかの種も薬用・観賞用として用いられる。