1-11. Aulacoseira ambigua. 1,7,9,10 生細胞. 他は被殻. 2 は殻面、他は全て帯面. Scale bars = 10 µm (9以外は共通). 9-11. japonica型. 土浦港 (2006.10.30).
ストラメノパイル 不等毛植物門 珪藻綱 タルケイソウ目 スジタルケイソウ科 スジタルケイソウ属
アウラコセイラ・アンビグア
Aulacoseira ambigua (Grunow) Simonsen 1979, Bacillaria 2: 56.
Basyonym: Aulacoseira crenulata var. ambigua Grunow in Van Heurck 1881, Syn. Diatom. Belg., pl. 88, f. 12-15.
Synonym: Melosira ambigua (Grunow) O.Müll. 1903; Melosira japonica F. Meister 1913.

直径 4-18 µm、殻高4-16 µm の円筒形の細胞が1列につながって、直線状 (図1,3-8) またはらせん状 (図9-11) の糸状群体を形成する。殻面は円形、周縁部に大きな胞紋が1輪あり、それより内側には小さな胞紋が散在する (図2)。殻面縁の連結針は短い先広のへら形だが、分離殻では先細。殻套には、側面に平行またはやや斜めに配列した条線(胞紋列)がある。条線は14-20/10µm、これを構成する胞紋は14-22/10µm。殻套縁には中空の横輪がある。横輪上に、大きな外部開口をもつ唇状突起がある。帯片は開放型、多数の小孔をもつ。葉緑体は盤状でふつう多数 (図1,7,9,10) 。

らせん状の群体を形成するものは Melosira japonicaとして分けられていたが、微細構造的には差異はないとされる。Aulacoseira italica (= Melosira italica) と混同されてきたが、本邦における A. italica の報告は多くが本種の誤同定であるらしい。類似種に比べると、連結針の形態、条線密度、条線が斜めである個体が多いことなどから区別できる。

淡水止水域でしばしば優占種となる。プランクトン性。有機汚濁に対しては広適応性であり、中〜富栄養型、β-中腐水域に多い。pH7-9の水域に多く出現する好アルカリ性。霞ヶ浦でも非常に多く、2006年10月にはプランクトン群集における優占種であった。

参考文献 References