1-8. Fragilaria crotonensis. 1. 生細胞 (群体帯面). 2-8. 被殻 (2 は群体帯面、他は殻面). 土浦港 (2006.10.30). Scale bars = 10 µm (2-8は共通).
ストラメノパイル 不等毛植物門 珪藻綱 羽状目 オビケイソウ科 オビケイソウ属
フラギラリア・クロトネンシス(オビケイソウ)
Fragilaria crotonensis Kitton 1869, Sci.-Gossip 5: 110. f.81.
Synonyms:

細胞が殻面の中央部付近で互いに結合して帯状群体を形成する (殻端部には隙間がある)。各細胞は帯面観では中央で幅広く両端が細くなる。殻は線状披針形、中央は膨らむか弱く波打ち、両端に向かって急に細くなり、両端は弱く頭状。殻長 38-140 µm、殻幅 2-4 µm。条線は互生、ほぼ並行に殻套まで伸び、殻中央に狭い軸域がある。条線密度は 15-18/10 µm。中心域は縦長長方形、無紋または条線の痕跡がある。条線は単列の単純な胞紋列からなり、外面が輪形篩板で閉塞される。殻肩の間条線上に連結針があり、殻中央付近では連結針がへら形で隣接する細胞の被殻どうしを連結している。また殻端の連結針も突起状で大きい。殻の両端には殻端小孔域がある。殻の一端、ほぼ中央には1個の唇状突起がある。殻套の縁には大きなプラークが存在する。帯片は1半被殻あたり3〜4枚、開放型。帯片の殻側に一列の小孔列が見られる。葉緑体は板状、2個、それぞれ殻面に面する。有性生殖が報告されている。

特徴的な群体を形成することで他種と容易に区別できる。単独である場合は Ulnaria のいくつかの種 (U. acus など) に酷似するが、条線が互生することで区別できる。

淡水止水域に生息し、ときに大発生する。プランクトン性。中〜富栄養性。弱汚濁耐性種。好アルカリ性。浄水場の濾過池を詰まらせることがある。霞ヶ浦でも比較的多くみられ、時に大発生する。

参考文献 References