1-6. Ulnaria ulna. 1-3. 生体 (1,2は殻面、3は帯面). 4-6. 被殻 (殻面). 土浦港 (2006.10.30). Scale bars = 10 µm (2-6は共通).
ストラメノパイル 不等毛植物門 珪藻綱 羽状目 オビケイソウ科 ハリケイソウ属
ウルナリア・ウルナ
Ulnaria ulna (Nitzsch) Compére in Jahn et al. 2001, Lange-Bertalot-Festschrift. p. 100.
Basyonym: Bacillaria ulna ulna Nitzsch 1817, Schr. nat. Ges. Halle 3: 99. pl. 5.
Synonym: Synedra ulna (Nitzsch)

細胞は単体性または殻端から分泌された粘液質によって一端が集まった叢状群体。帯面観では細長い長方形 (図3)。殻は長線形、殻側はほぼ並行、両端はくちばし状〜頭状。殻長 50-350 µm、殻幅 5-9 µm。条線は対生、平行に配列し、殻套まで伸びる(外表面観では殻肩で一端とぎれる)。条線密度は8-12/10 µm。殻中央に狭い軸域があり、中心域は正方形〜縦長長方形、ときに条線の痕跡がある。条線は単列の円形〜楕円形胞紋列からなり、外面が輪形篩板で閉塞される。胞紋密度は約40/10 µm。殻の両端には殻端小孔域がある。殻の両端、軸域上にはそれぞれ1個の唇状突起がやや斜めに位置する。帯片は1半被殻あたり3枚、閉鎖型。帯片の殻側に一列の小孔列が見られる。葉緑体は板状、2個。対合した細胞がそれぞれ配偶子を2個つくり、異形配偶子接合によって2個の接合子を形成する。

一般的には Synedra ulna の名でよく知られている。

止水、流水とも淡水域に極めてひろく生息する普通種であり、流水域では第1位優占種となることがある。付着性。有機汚濁に対しては広い耐性を示し、中汚濁耐性種。α-中腐水〜強腐水性。好アルカリ性。

参考文献 References