1, 2(?). Carteria radiosa. 3, 4. Carteria aff. inversa. 5. Carteria sp. 土浦港 (2は2007.11.20、それ以外は2006.10.30). Scale bar = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 ボルボックス目 クラミドモナス科*
カルテリア属
Carteria
Diesing 1866, Diesing, Sitzungber. Akad. Wiss. Wien. Math.-Nat. Kl. 52: 356.
Type species: Carteria multifilis (Fresenius) Dill 1895
Synonyms: Pithiscus Dangeard 1888; Corbierea Dangeard 1888
単細胞自由遊泳性。球形〜楕円形の細胞の頂端から4本の等長鞭毛が生じている。鞭毛がでている部分以外は糖タンパク質性の細胞壁 (テカ) で囲まれ、細胞頂端では細胞壁が肥厚してパピラを形成することがある (図1, 3, 4)。葉緑体は1個、形状はカップ型やH型などさまざま。ピレノイドは1〜多数、位置はさまざま。葉緑体中にはふつう眼点が存在し、細胞前方〜側方に位置する (図1, 3)。ふつう細胞頂端に2または4個の収縮胞をもつ。核は1個。鞭毛装置には2型が知られており(Group I, II sensu Lembi 1975)、これはパピラの形態とも対応している(Group I では小さく丘状、図3、Group II では大きく上から見て十字形、図1, 2)。
遊泳能を失ったパルメラ期がふつうに見られる。
2または4個の遊走子形成によって増殖する。無性的に耐久細胞(アキネート)を形成することがある。有性生殖は同型配偶子接合から異型配偶子接合、卵生殖まで知られる。接合後、動接合子を経て不動接合子が形成される。
60種ほどが知られている。ピレノイドを欠く種は Provasoliella A.R. Loeblich に分けられている。葉緑体の形態、ピレノイドの位置などで亜属の分類がされている。しかしこの亜属の分類とは対応しない2つのグループが存在することが鞭毛装置などの形態から示唆されており (Group I, II sensu Lembi、上記参照)、分子系統解析によるとこの2つのグループは全く系統を異とするらしい。よって将来的に本属は分割されることになるだろう。
Group I には C. radiosa, C. obtusa、Group II には C. eugametos, C. crucifera, C. olivieri, C. capillatum が知られる。
淡水止水域に広く分布する。プランクトン性。土壌藻として出現する種も知られる。霞ヶ浦では比較的ふつうに見られるが、数は多くない。
参考文献 References
- Buchheim, M.A. & Chapman, R.L. (1992) Phylogeny of Carteria (Chlorophyceae) inferred from molecular and organismal data. J. Phycol. 28: 362-374
- Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (2006) AlgaeBase version 4.2. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. http://www.algaebase.org; searched on 13 December 2006.
- Lembi, C.A. (1975) The fine structure of the flagellar apparatus of Carteria. Journal of Phycology 11: 1-9.
- Nozaki, H., Misumi, O. & Kuroiwa, T. (2003) Phylogeny of the quadriflagellate Volvocales (Chlorophyceae) based on chloroplast multigene sequences. Mol. Phylog. Evol. 29: 58-66.
- 山岸高旺 (2007) 淡水藻類 淡水産藻類属総覧. 内田老鶴圃. 1428 pp.