1. Chloromonas sp. 2. Chloromonas sp. 3. Chloromonas sp. 土浦港. Scale bar = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 ボルボックス目 クラミドモナス科*
クロロモナス属*
Chloromonas Gobi 1899, Scripta Bot. Hort. Univ. Imper. Petropol. 15: 255.
Type species: Chloromonas reticulata (Goroschankin 1891) Wille 1903
Synonyms:

基本的に単細胞自由遊泳性。球形〜楕円形の細胞の頂端から2本の等長鞭毛が左右に生じている。鞭毛の出ている部分以外は糖タンパク質性の細胞壁 (テカ) で囲まれ、細胞頂端では細胞壁が肥厚してパピラを形成することもある。葉緑体は1個、形状はカップ型、帯状、星状などさまざまである。ピレノイドを欠く。葉緑体中にはふつう眼点が存在し、細胞前方〜側方に位置する (図3)。ふつう細胞頂端に2〜多数の収縮胞をもつ。核は1個。 ときに遊泳能を失ったコッコイド期やパルメラ期が見られる。

遊走子形成によって増殖する。無性的なアキネート形成が報告されている。有性生殖は同型配偶子接合から異型配偶子接合、卵生殖まで知られる。接合子は減数分裂によって4〜8個の遊走細胞を形成する。

150種ほどが記載されている。類似する属としてChlamydomonasがあるが、この属はピレノイドをもつ点で異なる。しかしボルボックス目においてピレノイドの消失は何回か起こっているらしく、Chloromonas属は明らかに多系統群である。Pröscholda et al. (2001) によってChloromonas属は再定義されており、この再定義によれば、Chloromonas属にはピレノイドをもつ種も含まれる。しかし未だ詳細な調査が行われていない種が多く残されており、ここでは古典的な意味での本属の特徴を記してある。ピレノイドの消失にはその主要構成要素であるRubiscoタンパク質の変異が関与している例があるらしい (Morita et al. 1999, Nozaki et al. 2002)。

多くは淡水域に生育するが、土壌藻や氷雪藻として知られる種もある。霞ヶ浦でもときに見られるが、数は少ない。

参考文献 References