1. Nephroselmis olivacea. 土浦港 (2007.9.4). Scale bar = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 ネフロセルミス藻綱 ネフロセルミス目 ネフロセルミス科
ネフロセルミス属
Nephroselmis F. Stein 1878: x, pl. 19: figs 32-37.
Type species: Nephroselmis olivacea F. Stein 1878
Synonyms: Bipedinomonas N. Carter 1937

単細胞自由遊泳性。細胞は左右に扁平で多くは豆形。 細胞側面(腹面)から2本の不等長鞭毛が生じている。短鞭毛は前方で運動し、長鞭毛は細胞後方へ伸びる。停止時には短鞭毛は細胞に沿って湾曲し、長鞭毛は後方へ伸ばしたままの種と細胞に沿って前方へと巻き付ける種がある。細胞は小方鱗片、風車鱗片、星状鱗片など種特異的な数種類の有機質鱗片で覆われる (EM)。鞭毛は小方鱗片、棒状鱗片、ときに小星鱗片で覆われ、数種類の毛状鱗片をもつ (EM)。1個のカップ型の葉緑体をもち (ふつう図のように左右に切れ込みがある)、葉緑体基部 (背側) にはピレノイドが1個存在する。ふつう短鞭毛の基部付近と相対する位置に眼点がある。淡水種では鞭毛基部付近に2個の収縮胞がある。

無性的な2分裂によって増殖する。同型配偶子接合による有性生殖が知られている (Suda et al. 1989)。

約10種が知られる。細胞の大きさ、形、鞭毛の長さ、眼点の有無、特に鱗片の微細形態で分類されている。プラシノ藻綱に分類されることが多いが、広義のプラシノ藻綱は明らかに多系統群であり、独自の綱とすべきであろう。

多くは海水域に生育するが、淡水種もいる。タイプ種である Nephroselmis olivacea は、淡水止水域で比較的ふつうに見られる。霞ヶ浦でも出現頻度は高いが、数は少ない。

参考文献 References