1. Oedogonium sp. 土浦港 (2006.10.30). Scale bar = µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 サヤミドロ目 サヤミドロ科
サヤミドロ属
Oedogonium Link 1820
Type species: Oedogonium grande Kützing
Synonyms:

無分枝の単列糸状体。糸状体末端の仮根細胞によって基物に付着する。ときに先端細胞が分化している。各細胞は円筒形(直径 4-54 µm)、ふつう全ての細胞が分裂能をもつ。細胞は単核性(染色体数 4〜41)、ふつう多量の液胞をもつ。葉緑体は沿膜性、網状で1〜多数のピレノイドをもつ。ピレノイド基質には多数のチューブ状細胞質が貫入する。

細胞は不等分裂し、娘細胞のうち1方が新たに細胞壁を形成して糸状体が伸長する。このとき新たな細胞の両端に取り残された古い細胞壁が襟を形成する。遊走子形成によって無性生殖を行う。遊走子は各細胞に1個づつ形成され、大きく、リング状に多数の鞭毛(約150本)をもっている。遊走子は薄い袋で覆われた状態で放出され、袋から出て短時間遊泳した後に頂端で着生する。糸状体の分断化、不動胞子、アキネートによる無性生殖も知られる。有性生殖は卵生殖、雌雄同株または異株。雄性個体が大型の種(macrandrous)と、小形で雌性個体に付着している種があり(nannandrous)、このような小形雄性個体を矮雄(dwarf males)とよぶ。雄性個体は造精器をつくり、多鞭毛性の精子を1〜2個形成する。雌性個体の生卵母細胞(oogonial mother cell)は1回の分裂で生卵器を形成し、その中に卵が1個つくられる。生卵器の細胞壁に空いた孔を通じて精子が侵入し(化学走性)、卵と融合して接合子が形成される。接合子は種特異的な装飾をもった厚い壁を形成し、成熟すると赤色になる。接合子は減数分裂によって多鞭毛性の遊走子を4個形成する。

淡水域に広く生育し、植物や岩などの基物に付着しているが、浮遊していることもある。汽水域から見つかることもある。

参考文献 References