1. Pediastrum duplex. 2. P. simplex var. echinulatum. 3. P. simplex var. simplex. 4. P. asymmetricum. 5, 6. P. tetras. 7, 8. P. biradiatum. 土浦港. Scale bars = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 ヨコワミドロ目 アミミドロ科
ペディアスツルム属(クンショウモ属)
Pediastrum Meyen 1829, Verhandl. K. Leopol. Carol. Akad. Naturf. 14: 772.
Type species: Pediastrum duplex Meyen 1829
Synonyms: Stauridium Corda 1835; Monactinus Corda 1839; Asterodictyon Ehrenberg 1845

4, 8, 16, 32, または64(まれに128)個の細胞が、1層で放射状に規則正しく配列した不動性定数群体(直径 15-400 µm)を形成する。細胞は直径 8-32 µm、扁平で多角形を基本として様々な変位が見られる。隣接する細胞同士はほぼ全面で、または細胞突出部で接している。縁辺部の細胞と中央部の細胞では形態的に分化が見られることが多い (図2-4, 8)。細胞壁は繊維質の内層とスポロポレニン様物質を含む外層からなるが、珪酸質を多く含むことが報告されている。細胞壁表面は平滑なものから顆粒、網状隆起があるものまでいる。 細胞は多核性。葉緑体は1個、沿壁性、明瞭なデンプン鞘をもったピレノイドを1〜多数含む。ピレノイド基質に貫入構造はない (EM)。

群体を形成するすべての細胞が遊走子形成を介した娘群体形成を行う。ふつう群体内では娘群体形成が同調しないため、群体内でいくつかの細胞だけが空になっているものがよく見られる。親細胞内で形成された多数(群体形成細胞数)の2本鞭毛性遊走子は細胞壁内層起源の袋(嚢状体)に包まれて細胞外にでるが、短時間で遊泳能を失い、袋の中で規則正しく集合して娘群体を形成する。 有性生殖時には遊走子よりやや小形の2本鞭毛性配偶子が形成される。配偶子の同型配偶子接合によって形成された接合子は大型化し、減数分裂によって遊走細胞を形成する。遊走細胞は遊泳後に厚壁胞子(無性接合子)を形成し、さらにこれが遊泳細胞を形成する。この遊走細胞は多角形のポリエドラ(Tetraedron に酷似)になり、直接分裂して、もしくは無性生殖と同様に遊走子形成を介して群体を形成する。群体が無性的に遊走細胞を形成してこれが厚壁胞子(無性接合子)になることもある。

20種程度が知られ、数百の変種や型が記載されている。細胞(特に周縁部の細胞)の形態や群体の形などに基づいて分類されている。分子系統学的な研究からアミミドロ属が本属の内群であるとする意見があり、これに基づいて本属をいくつかの属 (Monactinus, Parapediastrum, Pseudopediastrum, Stauridium) に分割することが提唱されている (Buchheim et al. 2005)。

世界中の淡水止水域に広く生育し、きわめて普遍的に出現する。プランクトン性。 霞ヶ浦では、Pediastrum duplex, P. simplex (= Monactinus simplex), P. asymmetricum (= Monactinus asymmetricus), P. tetras (= Stauridium tetras), P. biradiatum (= Parapediastrum biradiatum) が見られる。

参考文献 References