1. Vitreochlamys gloeocystiformis. 2. Vitreochlamys aff. nekrassowii. 土浦港 (2006.10.30). Scale bars = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 ボルボックス目 クラミドモナス科*
ヴィトレオクラミス属*
Vitreochlamys Batko 1970, Acta Mycol. 2: 288.
Type species: Vitreochlamys fluviatilis (Stein 1878) Batko 1970
Synonyms: Sphaerellopsis Korshikov 1925 non Cooke 1883

単細胞自由遊泳性。球形〜楕円形または円筒形の細胞の頂端から2本の等長鞭毛が前方左右に伸びている。糖タンパク質性の細胞壁(テカ)で囲まれているが、細胞壁と原形質の間には広い空隙がある。ふつうパピラはない。葉緑体は1個、形状はカップ型、帯状、H型などさまざまである。光合成能を欠いた種 (V. hyalina) も知られる。ふつう1〜複数のピレノイドが存在する。葉緑体中には眼点が存在し、細胞側方に位置する。収縮胞は細胞頂端に2または4個が存在するか、多数が細胞周縁部に散在する。核は1個。パルメラ期が報告されている種もある。

ふつう4個の遊走子を形成して増殖する。いくつかの種で不動胞子形成やアキネート形成が知られる。有性生殖は同型配偶子接合が1種で報告されている。

本属に属する種は以前は Sphaerellopsis Korshikov に分類されていた。しかしこの属名は菌類の Sphaerellopsis Cooke に対する後続同名であるため、Vitreochlamys Batko が提唱された。ただし、Sphaerellopsis Korshikov に分類されていた種の中にはいまだ Vitreochlamys に移されていないものもあるらしい。分子系統学的には Vitreochlamys は多系統であることが示されており (Nakazawa et al. 2001)、細胞壁の膨潤はボルボックス目内で何度も起こったのだろう。

淡水域に広く生育する。霞ヶ浦でもときに見られるが、数は少ない。

参考文献 References