1-4. Bicosoeca sp. 土浦港(2006.10. 30). Scale bar = 10 µm.
ストラメノパイル 所属不明 ビコソエカ綱 ビコソエカ目 ビコソエカ科
ビコソエカ属
Bicosoeca H.J.Clark 1866, Proc. Boston Soc. Nat. Hist. 11: 16. (Mem. Boston Soc. Nat. Hist. 1: 309)
Type species: Bicosoeca gracilipes H.J.Clark 1867
Synonym: Codomonas Lackey 1939, Domatomonas Lackey 1939, Poteriodendron F.Stein 1878, Stephanocodon Pascher 1942
Orth. variant: Bicoeca H.J.Clark 1866

不等長2本の鞭毛をもった細胞がロリカの中に収まっている。ロリカの形態は様々だが、細い柄をもったコップ形をしたものが多い。ロリカはときに繊維質からなるが、光顕下では透明に見える。単細胞性で付着性の種が多いが、群体を形成するものやプランクトン性の種もある。

細胞は球形〜楕円形。頂端付近から生じる長短2本の鞭毛をもち、長鞭毛は前方へ長く伸ばして運動し、短鞭毛は後方へ伸びて先端がロリカの底に付着している。前鞭毛には管状小毛が付随する。色素体を欠く。淡水産種は細胞前方に収縮胞をもつ。鞭毛基部付近が唇状にロリカ外へ突出して明瞭な細胞口を形成している。ふだんは前後鞭毛とも伸ばしており、前鞭毛は細かく波動しているが、緩いカーブを描いた軌跡として見える。ときどき前後鞭毛とも急に縮めてロリカの底部へ引っ込むのが見られる。このとき前鞭毛はコイル状に折り畳まれてロリカ内に収まっている。

2分裂によって増殖する。娘細胞のうち一つは母細胞のロリカ内にとどまり、もう1つの娘細胞は泳ぎ出て新たなロリカを形成する。群体を形成する種では新たなロリカは母細胞のロリカに接してつくられる。有性生殖は知られていない。

約40種が知られ、主にロリカの形態で分類されている。以前は不等毛植物門黄金色藻綱に含められていたが、色素体の痕跡ももっていない点で異なり、微細構造的にも相違点が多い。不等毛植物が葉緑体を獲得する前の段階を示しているのかもしれない。

海水および淡水止水域に広く分布し、特に富栄養・汚水域でふつうに見られる。糸状藻や大形のプラントン性藻類(特に珪藻など)に付着しているものがよく見られる。おもにバクテリアを捕食する。

参考文献 References