1. Dinobryon divergens. 土浦港 (2006.10.30). Scale bar = 10 µm.
ストラメノパイル 不等毛植物門 黄金色藻綱 オクロモナス目* ディノブリオン科
ディノブリオン属(サヤツナギ属)
Dinobryon Ehrenberg 1834, Abh. Königl. Akad. Wiss. Berlin 1833: 279.
Type species: Dinobryon sertularia Ehrenberg 1834
Synonym: Dinodendron F. Schütt 1892

倒円錐形のロリカの中にそれぞれ1個の遊泳性細胞が収まっている。多数の細胞が連なって樹枝状の群体を形成していることが多いが、単独性のこともある。ロリカは繊維質で編み上げられており、透明、長さ30〜120 µm。ロリカが基物に付着することはなく、プランクトン性。細胞は紡錘形、亜頂端から2本の不等長の鞭毛が生じている。長鞭毛には管状小毛が付随する。細胞は黄褐色でリボン状の葉緑体を1個もち、その前端には赤色の眼点が1個存在する(図2)。細胞前端付近には収縮胞があり、細胞後端にはクリソラミナラン小胞が存在する。細胞前端付近に補食装置が存在し、鞭毛打で引き寄せたバクテリアなどを鞭毛基部付近が突出して取り込む。

基本的に2分裂によって増殖する。娘細胞のうち1つは母細胞のロリカ内にとどまり、もう1つは母細胞のロリカ上縁内面で新たなロリカを形成する。この過程を繰り返すことによって樹枝状の群体が形成されるものと思われる。群体数の増殖は細胞の遊離や群体の分断によっておこなわれる。ときに栄養細胞は配偶子に変換し、雄性配偶子が遊離してロリカ内にとどまっている雌性配偶子と融合する。接合子はスタト胞子とよばれる珪酸質の細胞壁をもった胞子になる。またスタト胞子は無性的に形成されることもある。

約40種が知られる。ロリカやスタト胞子の形態などで種が分けられている。

プランクトン性で淡水止水域に広く分布し、ときに大発生することもある。海棲の種も若干知られる。混合栄養性であり、光合成を行うと同時にバクテリアなどを補食する。

参考文献 References