1, 2. Closterium spp. 土浦港 (2006.10.30). Scale bar = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 ストレプト植物門 接合藻綱 ツヅミモ目 ミカヅキモ科
クロステリウム属(ミカヅキモ属)
Closterium Nitzsch ex Ralfs 1848: 159.
Type species: Closterium lunula Nitzsch ex Ralfs
Synonym:

単細胞不動性。細胞は細長い紡錘形でふつう湾曲 (三日月形)、ときにまっすぐ、長さ72-1700 µm。細胞壁はふつう透明だがときに褐色を帯びる。細胞壁表面は平滑または縦に条線がある。細胞壁は繊維質(セルロース性)の内層と電子密度の高い外層からなる (EM)。細胞壁外層には小孔があり、それにつながる内層の部分も電子密度が低くなっているが、ツヅミモ科のように連続した孔にはなっていない。葉緑体はふつう2個(まれに4個)、中軸性で断面では星状を呈する。各葉緑体は1〜多数のピレノイドをもつ。核は1個、細胞中央の葉緑体の間に存在する。細胞両端にはしばしば硫酸カルシウム粒子を含んだ液胞が存在しており、その粒子のブラウン運動がよく目立つ。

2分裂(分裂面は細胞長軸に直角)によって増殖する。娘細胞は親から細胞壁の半分を受け継ぎ、もう半分を新生する (そのため半分の細胞壁のみが褐色を呈していることがある)。いくつかの種では不動胞子や単性胞子が報告されている。接合 (conjugation) による有性生殖を行う。雌雄同株または異株。接合時に細胞(配偶子嚢)は分泌した粘液物質内で近接し、それぞれ中央で割れて不動配偶子を放出する。不動配偶子は移動して細胞間で接合し、接合子 (接合胞子) となる。接合胞子は球形〜不規則形、ときに多数の突起をもつ。発芽の直前に減数分裂を行う。

1200種以上が記載されている。細胞の形態などで分類されているが、同一形態種内に多数の生物学的種(生殖的に隔離されたまとまり)が存在することが知られている。

世界中の淡水域に広く分布する。とくに酸性の貧栄養止水域に多い。ふつう付着・底生性、ときにプランクトン性。

参考文献 References