2006.10.30に多く見られたプロチスト

 この図鑑は、霞ヶ浦でみられたさまざまな原生生物(プロチスタ、プロティスト)の簡単な図鑑です。またプロティストではありませんが、生態系において同じような役割を演じているシアノバクテリア(藍藻)も含んでいます。左の目次から生物を選択すると、その生物の解説と写真(おもに光顕像、まだ一部です)を見ることができます。
 この研究は筑波大学学内プロジェクト「普遍水域におけるプロティスト多様性解明とプロティストバイオリソース基盤の構築」の一環として行われています。



 多細胞動物(後生動物)、陸上植物、高等菌類以外の真核生物は原生生物(プロティスト)と総称されています。プロティストにはゾウリムシやアメーバ、ミドリムシ、イカダモ、ミズカビなどいわゆる原生動物や真核藻類、下等菌類が含まれていますが、系統的には極めて多様であり、その多様性は真核生物全体とほぼ等しい言えます。また生態的にも、生産者や消費者として、多細胞の生物に匹敵する役割を演じていることが明らかになりつつあります。霞ヶ浦はアオコ(シアノバクテリアのMicrocystisAnabaena)の発生などで有名であり、また水道水の取水などで我々の生活にも密接に関わっています。この霞ヶ浦にもさまざまなプロティストが生息しており、おそらく複雑な生態系を形成しています。このような生態系の理解には、どのような生物がどの程度棲んでいるのか?という基礎的な情報が不可欠ですが、残念ながらプロティストに関する我々の生物学的知識はいまだ極めて限られたものになっています。逆にプロティストに関する研究は生物学における一大フロンティアだとも言えます。以上のような観点から、我々はプロチストの系統分類学的な研究を進めており、今回は霞ヶ浦をフィールドとして包括的な調査を行いました。