葉緑体の起源と進化

藻類の葉緑体は一次共生や二次共生という過程を経て獲得されたことが明かとなっています。異なる藻類群の葉緑体はそれぞれ別の光合成生物から独立の共生過程によって生まれたこともほぼ間違いありません。

我々は,各藻類群の葉緑体がそれぞれどのような生物の共生によって誕生したのか,その起源を分子系統学的な手法で解明しようとしています。

参考文献
・原慶明(1996)比較細胞学のすすめ。バイオディバーシティ・シリーズ1 生物の種多様性(岩槻邦男、馬渡峻輔・編)裳華房 pp.125-148
・堀口健雄(1999)細胞内共生による葉緑体の獲得と藻類の多様化。バイオディバーシティ・シリーズ3 藻類の多様性と系統(千原光雄・編)裳華房 pp.147-157
・石田健一郎、中山剛(2003)葉緑体の水平伝搬がもたらした藻類多様性:切っても切れない原生動物との関係.生物科学 55(2):95-103
クロララクニオン藻の葉緑体の起源を示唆する系統樹。

系統樹は葉緑体ペプチド伸長因子タンパクのもの。クロララクニオン藻の葉緑体は緑色植物のアオサ藻から由来したことを示唆している。(Ishida et al. 1997)