藍藻画像データ

藍藻は葉緑体やミトコンドリア,ゴルジ体などの細胞小器官をもたない原核生物の仲間で,系統的にはグラム陰性細菌などとともに真正細菌(Eubacteria)の一員である。しかし,光合成細菌と異なり,真核光合成生物(植物)と同様に酸素発生型光合成を行うために,古くから植物あるいは藻類の一員として扱われてきた。現在では細菌の一部として認識されているが,いまでも慣習の面から,あるいは研究技術が類似していることから藻類として扱われることが多い。藍藻はクロロフィルaのほかに色素タンパク質であるフィコビリン(フィコエリスリンとフィコシアニン)をもっている。 藍藻はグラム陰性細菌とおなじ4層からなるといわれる細胞壁に包まれる。 細胞膜の内側にはチラコイドが走り,細胞中央にはDNAがみられる。このほかにグリコーゲン顆粒,ルビスコ(RuBP carboxylase/oxydase)の結晶化部位であるカルボキシソーム(carboxysome)がみられる。他の細菌と同様に藍藻も細胞内膜系が極度に未発達である。生命の歴史で藍藻をみると,30億年前(最近では35億年前という説もある)に地球上に出現したといわれ,地球大気の形成に大きな役割を果たしてきたと考えられている。初期の藍藻の姿を現在に残しているのがオーストラリア西岸のシャークベイに現存するストロマトライトである。 もっとも身近にみられる藍藻は夏の湖沼で水の華を形成し,悪臭や毒を形成するいわゆるアオコ(Microcystis)である。このほかAnabaena, Nostocなど窒素固定を行う種も多い。


藍藻の細胞構造