生物界の3つの仲間


○モネラ界の2つの系統

生命が38億年前に発生し真核生物が出現するまでのおよそ20億年間,つまり生物の歴史のおよそ半分の時間,原核生物が生物進化の主役であったことはあまり理解されていない。38億年の歴史を背景にもつ原核生物の多様性や生物群としての広がりはおそらくわれわれの想像を越えるものであろう。実際,リボソームRNAの調査結果から原核生物は起源の異なる2つの大きな仲間を含むことがわかってきた。つまり生物界は形態でみると原核と真核の2つに分けられるが,系統的には真正細菌,古細菌と真核生物の3つの仲間からなる。真正細菌はグラム陰性細菌やラン藻などを含み,古細菌にはメタン細菌,好塩細菌,好熱細菌などが属する。2つの原核生物は界の階級で扱われることが多い。さまざまな生体分子や代謝の性質が真正細菌よりも真核生物に近いことなどから,古細菌の方が真核生物により近いと考えられている。