小口 太一 (TAICHI OGUCHI)

研究テーマ:

「サーカディアン発現制御機構の解析」

研究概要:

 高等植物の光周性花成誘導現象に植物の内生リズム(生物時計、サーカディアンリズム)が関与することは古くから知られている。我々のグループではアサガオを用いた研究から花成誘導暗期中に特異的に発現する新規の遺伝子、PnC401を単離した(Sage-Ono et al., 1998)。PnC401は機能未知であるが、その発現が約24時間周期のリズム変動することから、生物時計の制御下にあることが明らかにされている。さらに、PnC401のシロイヌナズナにおけるホモログAtC401もまた時計制御遺伝子であることが分かっている。
 現在、私はC401遺伝子の発現制御機構を解明するため、シロイヌナズナゲノムDNA配列中から、AtC401プロモーターDNA配列を決定し、ホタルの発光タンパク質をコードする遺伝子(ルシフェラーゼ)との融合遺伝子を作成、それを遺伝子導入した形質転換植物を作成し、C401遺伝子の発現を発光によってモニターできる実験系を作成した。この系を用いて、AtC401プロモーターの解析および、シロイヌナズナAtC401遺伝子のサーカディアンリズム発現に影響を与える因子の探索を行っている。これらの研究から得られる成果は、高等植物のサーカディアン発現制御機構の解明、さらには光周性花成誘導機構の解明につながる知見が得られるものと期待される。


図)AtC401プロモータ :: ルシフェラーゼ 融合遺伝子を導入した形質転換植物の連続明期下
  での生物発光のリズム(発光測定は、浜松フォトニクス社ARGUS20を用いた)