C-ABI3の研究

1）ECP遺伝子群を制御する遺伝子、C-ABI3

　ECP遺伝子等の、LEA遺伝子の発現は植物ホルモンABAとC-ABI3遺伝子によって制御されています。C-ABI3遺伝子は、種子でのABAシグナル伝達に関係する遺伝子であるシロイヌナズナのABI3 遺伝子や、トウモロコシのVP1 遺伝子の相同遺伝子です。

2）C-ABI3遺伝子の発現

　C-ABI3/ABI3 遺伝子は、植物の葉や、茎などでは発現せず、胚でのみ発現する遺伝子であることが知られていました。さらに、我々の研究により、シロイヌナズナ種子胚・ニンジン不定胚の発生において非常に初期から発現していることが確認されました。特にニンジン不定胚においては、不定胚としてのかたちが出来るより前、胚形成能力獲得の直後から発現を開始する遺伝子であることが分かりました。

3）C-ABI3遺伝子の発現調節システムの解析

　C-ABI3/ABI3 遺伝子のような胚発生初期の遺伝子の発現調節システムは未だによく分かっていません。そこで、C-ABI3/ABI3 遺伝子の発現を調節しているプロモーター領域の解析と、そこに結合して調節を行う因子の単離を現在行っています。この研究によって胚発生のごく初期の遺伝子発現制御のシステムが明らかにされると同時に、胚発生プログラムの源流に位置する遺伝子の単離が可能であると思われます。