つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2002) 1: 90-94.

特集:大学説明会

Q & A


 生物学類HP (http://www.biol.tsukuba.ac.jp/)では生物学類に寄せられた主な質問とその答えを『Q&A』として 公開している。ここに、今年度の大学説明会向けにまとめたものと、過去のQ&Aを転載するので参考にしてほしい。

平成14年度大学説明会(生物学類)参加希望者からの主な質問内容Q&A (2002.8.5)

1.教育内容について

Q:学類の授業の特色は何か

A:生物学類の最大の特色は、一学年の学生定員80名、教官数50名と全国最大規模を誇り、学べる領域が多岐に渡っているため、学生が選択できる専門分野の数が多いことである。しかも以下の2点は他のどの大学にもない生 物学類独自の極めてユニークな特色である。 

(1)基礎生物学を重要視したコース(基礎生物学コース、機能生物学コース):生物学のバックボーンとなる学問分 野で、多くの国立大学では改組リストラによって消滅させた系統分類学や環境生態学など、生命現象を生物集団レ ベルで統合的に解明していこうとする統合生物学を主体とした基礎コースが中核となっている。もちろん最近の進 展が目覚ましいゲノムサイエンスや遺伝情報発現系、シグナル伝達、神経生理など、分子生物学的手法を用いるこ とで生命現象を分子レベルで分析的に解明していこうとする情報生物学が中心の機能生物学コースも充実している。
(2)学際生物学を重要視したコース(応用生物化学コース、人間生物学コース):他大学の生物学科は組織上、数学、 物理、化学、地学とともに理学部の一学科として存在するのに対し、本学では生物学科だけが生物学類として独立 し、学際性を特徴とする第二学群に所属している。このアドバンテージを存分に生かしたのがこれらのコースの特 色で、数学や物理学より生物学の応用分野である農学や医学との接点の方がより強い。応用生物化学コースは生化 学や酵素化学、人間生物学コースはウイルス学や免疫学の講義も取り入れているのが特色である。

 多くの大学の生物学科は改組によって何と基礎生物学の分野をリストラし、分子生物学のような売れ筋の分野の みを集めた単純なコンビニ・カリキュラムに変身している。これに対し生物学類では本学類の長い伝統にはぐくま れた基礎生物学の分野を大切にしているだけでなく、流行の分子生物学はもちろん、他大学では全く手を着けてい ない生物学と農学や医学など実用的学問との融合分野を精力的に取り入れた学際的なコースも開設している。この ようなそれぞれのコースの多様な特色は、様々な個性と可能性を持つ学生諸君の要望に十分対応できるものであり、 生物学類生や卒業生だけでなく社会からの評価も極めて高い。

Q:他の学群・学類の授業はどの程度受けられるのか

A:1年次には必修科目で時間割のほとんどが埋まってしまうので、他学類の講義を履修するのは難しい。しかし、 2, 3年次では余裕ができるので他学類の講義を履修する機会は十分あり、主専攻コースや時間割の組み方にもよ るが、教職科目を取っている場合を除けば、多い人で年間3-8科目くらい履修が可能である。

Q:希望どおりの専攻に進めるのか(希望しても人間生物学コースに進めないことがあるのか)

A:人間生物学コースのみ実習定員の関係から20名を定員としているが、毎年ほとんど学生の希望通りになってい る。ただし、定員を超えた場合は、主に志望理由書を中心に厳正に選抜している。

Q:講義中心か、実験などが中心となるか

A:本学は3学期制で、1時限が75分の講義を1学期間で約10回分受講して1単位が認定される。生物学類の場 合、講義と実験実習が1年次で約50単位、2年次で約40単位、3年次で約30単位、4年次は卒業研究(6単位)が 中心となる。具体的に言えば、1年次では講義が主体で1日平均5時限分が埋まることになる。2, 3年次では講義数は減るが、その分週に3-4回の実験実習が主体となる。ただし、誤解してほしくないのは高校までのカリキュ ラムと違い、大学のカリキュラムの場合は、その内容を完全に理解すればよいというものではない。最も大切なの は、講義や実習をきっかけとして自分が専攻する分野を見つけ、その分野の勉強や研究を自ら積極的に進めて行き、 その中から卒業までに自分の進むべき進路を決定することなのである。

Q:遺伝子関係の研究をしたいが、専門に分かれるのは何年次からか

A:2年次から各コース(基礎生物学、機能生物学、応用生物化学、人間生物学)に分かれる。

Q:菅平センターなどは、どのような研究をしているのか

A:長野県菅平に菅平高原実験センターはあり、特に昆虫の比較発生学、植物群落生態学、菌類の系統分類学を中 心に広大な樹木園、森林、草原を活用した研究が精力的に行われている。この他、静岡県下田市にも全国でも有数 の臨海研究施設である下田臨海実験センターがあり、ここには実習船を始め、海洋生物を研究できる素晴らしい施 設がある。常駐している教官によるホヤ、ウニ、甲殻類を用いた発生学や生理学の研究、海藻やプランクトンを用 いた系統分類学の研究が精力的に行われている。カリキュラムの中にもこれらの施設を使った1週間泊まり込みの 野外・臨海実習が幾つか用意されている。これらの施設では卒業研究や大学院での研究指導が可能である。 以上の質問については、生物学類HP「第二学群、生物学類:教育内容について2002.4.9」(http://www. biol.tsukuba.ac.jp/cbs/Q&A/Q&A2.html ) にも関連する説明がある。

Q:主専攻の「基礎」と「応用」についてどのような授業があるのか
Q:生物について全般的に学ぶのか、分野ごとに専門的に学ぶのか
Q:環境問題について学べるか
Q:バイオテクノロジーについてどのようなことが学べるか
Q:植物の生態についてどのような講義や実験ができるか
Q:老化と寿命について、人間生物学コースでどの程度研究できるか
−→生物学類共通 発生学I などの講義
Q:フィールドワークはどのくらい行われるか
−→野外実習、臨海実習

A:以上の質問については、生物学類HP「シラバス」(開設授業科目一覧やその授業内容の説明)(http:// www.biol.tsukuba.ac.jp/cbs/SyllabusHP/Index2.html) を読めば答えが見つかるはず。

Q:生物資源学類との違いは何か
Q:細菌やウィルスの研究をしたいが、人間生物学コースと医学専門学群の違いは何か

A:生物学類が基礎科学としての生物学を指向しているのに対して、生物資源学類や医学専門学群は農学や医学な どの実用的学問領域を指向している。詳しくは、 生物資源学類 (http://www.bres.tsukuba.ac.jp/gakurui/)、 医学専門学群 (http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/md-school/) のWebサイトも参照されたい。

Q:高校で生物を取らなくても、授業についていけるか

A:1年次に必修として受講する概論科目で高校生物の内容を取り上げつつ講義するので、本人の勉学意欲があれ ば問題ない。もちろん高校生物の教科書を通読しておけば役に立つはず。

Q:宇宙の生物について研究できるか

A:宇宙の生物? NASDAに就職した卒業生や宇宙での生物学実験のプロジェクトに参加している教官はいる。

Q:大学周辺の研究機関で研究することはできるか

A:大学院に進学して連携大学院担当教官(大学周辺の研究機関に所属)を指導教官として研究することは可能。

Q:転学群・転学類は可能か

A:筑波大学には転学群・転学類の制度はあるので、条件を満たせば可能性はある。

Q:国際交流・留学の機会はあるか

A:生物学類はマンチェスター大学生物科学部との交換学生プログラム協定を締結し,本学類生の派遣とマンチェ スター大学学生の受け入れを実施している。また、生物学類を担当する教官は,世界中の多くの大学と交流を持ち,特に外国人学生の受け入れ,国際セミナーなどを行っており,生物学類生もこれら留学生や著名な研究者との交流 の機会に多く恵まれている。詳しい内容は、生物学類HP「国際交流」(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/cbs/kokusaikouryu/)を参照のこと。

2.学生生活について

Q:学生宿舎の広さ、設備や生活のきまりなど

A:個室は約9平方メートルの広さで各棟に談話室、洗濯室、補食室などがある。宿舎の各地区の共用棟(生活セ ンター)には、食堂、浴場、売店、理・美容室など日常生活に必要な施設が設けられている。他人に迷惑をかけな い最低限のルールは定められている。

Q:学生宿舎にかかる費用について

A:個室1人あたり月額3300円と共益費月額7140円、この他に個室電気料は実費、電話を使用する場合、月額約 3000円(通話料は別途)が必要になる。

Q:大学周辺にアパート等はあるか(家賃・間取り・安全性など) A:学生向けのアパートはたくさんある。家賃・間取り、周辺環境などはさまざまなので、実際に見学してみたほ うがよい。

Q:学生宿舎の入居基準は何か

A:新入生は優先的に入居できるように配慮されているが、入居希望者が計画数を上回った場合は、大学近隣から の通学可能者は入居できないこともある。

Q:学生宿舎とアパートのそれぞれの長所・短所について知りたい

A:人それぞれとしか言いようがないが、在校生の意見として、学生宿舎の長所:入学してすぐに友達ができやす いし、宿舎時代の友人関係は卒業後も続いていることが多い;学生宿舎の短所:共同浴場の営業時間が短い(17:00- 22:30)などある。

Q:どのようなサークルがあるか(それぞれの活動内容は)

A:文科系サークル連合会 (http://www.tsukuba.ac.jp/campuslife/sBunka/)   体育会 (http://www.stb.tsukuba.ac.jp/~taiiku/)   芸術系サークル連合会 (http://www.tsukuba.ac.jp/campuslife/sGeijyutu/)  それぞれのWebサイトがあり、詳しい紹介がある。

Q:大学で実施される行事にはどのようなものがあるのか

A:筑波大学のWebサイトに、学園祭、スポーツ・デー、宿舎祭の紹介がある。   (http://www.tsukuba.ac.jp/campuslife/event.html)

Q:クラス制度について知りたい

A:クラスは、フレッシュマンセミナー等を受講するための単位であるだけでなく、進路、学習、生活等の指導上 の単位でもある。各クラスにはクラス担任教員が配置され、教育活動および学生生活に関する諸事項を伝えるとと もに、学生からの相談を受けている。生物学類では、入試の成績や希望コースと関係なしに定員80名を4クラス(各 クラス20名)に編成し、各クラスに1名の担任が就く。その後1年次の後半にはコース分けが、3年次の後半には 卒業研究の指導教官の選択があるが、入学時のクラス編成は卒業まで継続される。

3.卒業後の進路・就職について

Q:主な就職先、職種について教えてほしい
Q:大学卒業後、製薬会社などに研究職としての就職は可能か
Q:進学率と就職率が知りたい
Q:生物以外の大学院研究科へ進学できるのか
Q:博士課程への進学について
Q:外国の研究機関に就職(研究)した者の状況について

A:生物学類卒業生の60パーセント以上が毎年、筑波大学や他大学の大学院修士課程や博士課程に進学している。 約20パーセントの卒業生は、企業、官公庁、学校などの社会の各分野で、未来志向と問題解決型の人材として高く 評価され、社会の担い手として活躍している。大学院修了後も国内外の研究所、企業、官公庁、学校など、多方面 に就職している。具体的な内容は「生物学類卒業生の進路」 (http://www.biol.tsukuba.ac.jp/cbs/gakuruiannai/epage20.html)を参照されたい。

Q:国家試験対策など、就職のための講座はあるのか

A:生物学類として特別な講義を開講したりはしていないが、筑波大学全体で、定期的に模擬試験等を実施してい る。

Q:連携大学院とは何か

A:生物学類から多く進学する生命環境科学研究科などの大学院研究科では筑波地区の国立研究機関や民間研究所 との交流を進めている。国立研究機関の研究者を併任教員とし、また民間研究所の研究者を客員教員として招聘し、 研究領域の充実と研究教育の高度化を目的とした教育・研究の連携体制(連携大学院方式)をとっている。 最近の科学技術の急速な発展に伴い専門化された研究分野や、学問体系を越えた新しい境界領域の開拓や、学際的研究が強く求められている。連携大学院はこれらの研究を支える新しい型の研究者を育成することを目的としてい る。

4.入学試験について

Q:推薦入試の面接と小論文では何が重要視されるか

A:面接では、生物学に対する考え方及び理解力を評価する。小論文では、生物学についての理解力および問題に 対する論理的表現力を評価する。また、英語の学力も問う。

Q:後期試験の面接の内容について

A:生物学に対する考え方、理解力を問う

Q:AC入試でセンター試験を「資格試験的に」利用するとはどういうことか

A:「生物学類アドミッションセンター(AC)入試について」の「生物学類AC入試の特徴」(http://www.biol.tsukuba.ac.jp/cbs/boshuyokou/boshuyokou-3.html#2) 詳しく説明してあるが、AC入試の精神からすると、センター入試は選抜のためではなくあくまでも資格試験で、前年度前期日程合格者の最低点をクリアするだけでよい。したがって、二次試験に合格した受験生全員が合格してほしいし、そのケースは十分にあり得る。

よくある質問とその答え(FAQ) -- 生物学類:教育内容について(2002.4.9)--

Q:どのようなカリキュラムになっているのか特色を知りたい。他大学にはない独自の講義や授業コースはあるか。

A:生物学類のカリキュラムには大きく分けると二つの特色がある。 第一は、生物学類では学生定員(80名)、教官数(50名)と大きな規模を誇り、学べる領域が多岐に渡っている点で ある。その中でも、多くの大学では機構改革によって消滅した系統分類学や環境生態学など生物学の基盤を構成する 分野を主体とした基礎コースが中核となっている。もちろん、最近の伸展が目覚ましい遺伝子の機能や情報伝達など の分野が中心の機能生物学コースも充実している。 第二の特色は、他大学では、生物学科は組織上、数学、物理学、化学、地学とともに理学部の一学科として存在する のに対し、本学では生物学科だけが生物学類として独立して存在しているという点、そして生物学の応用分野である 医学や農学との接点の方がより強く、最近注目を集めているクローン動物、遺伝子改変生物、ゲノムサイエンス等の 学際領域の講義も積極的に取り入れたコース(人間生物学コースと応用生物化学コース)も用意されている点である。 このように医学や農学などの実用的学問領域との接点になっているいわゆる学際領域を積極的に取り入れた人間生物 学コースと応用生物化学コース、本学の伝統を引き継いでいる基礎生物学コースはまさに本学類だけが提供できるカ リキュラムである。このような特徴を持つ生物学類のカリキュラムは、様々な個性と可能性を持つ学生の多様な興味 を十分に満足できると確信している。

Q:どのような生徒の入学を期待しているか。

A:最低以下の二つのことを満足できる生徒に入学してほしい。 第一に生き物や生物学が好きで、とりわけ生命現象に対して好奇心と探求心のある生徒。というのは生物学は直接社 会の役に立つことを目的とする学問ではなく、生命現象の神秘を深く探求し、解明することが目的のピュアサイエン スだからである。 第二に生物学類のカリキュラムを達成できる能力を持つ生徒。自分の好きな分野だけではなく、やりたくない嫌いな 分野の授業でもきちんとこなすことができる能力を持ち、さまざまな障害を英知を持って克服できる生徒。これは大 学で生物学の専門の研究を遂行していく上でも、社会に出てからも要求される大切な能力である。その意味からも、 現在嫌いな科目の受験勉強にも励んでいただきたい。

Q:役に立つことを直接の目的としない生物学を学んで、企業などへの就職に問題はないのか。

A:全く問題はない。以下の二つの視点から見てもむしろこれから需要がますます伸びていく学問領域である。 21世紀は生物学のビッグバンの時代であるといわれている。特に最近注目を浴びているゲノムサイエンス、再生医 学、クローン動物や遺伝子改変作物、環境保全問題などは医学、農学、工学、薬学等の実用学問とも共有する部分が あるが、その中枢に位置しているのが生物学である。最近は多くの企業が長期的視野に立った上で、実用学問を学ん だ即戦力となる学生の他に、生物学をじっくり学んで、科学研究の基盤をきちんと構築できた学生や院生を積極的に 採用する傾向がある。生物学類のカリキュラムを遂行できた卒業生はまさにこの要求を十分に満足する教育を受けて いると高く評価され始めている。 生物学はまた、古くから数学、物理、化学、地学とともにピュアサイエンスである自然科学の学問分野に属するが、 その中にあってもやはり中枢に位置している。生物学類が自然学類と対等の立場にあるのはこのためである。高校ま でのカリキュラムや高校受験、大学受験においては、数学、化学、物理の方が生物よりはるかに重要視されている。 しかし、自然科学の研究対象となるとこの価値観は一変する。実際のところ、自然科学全般をカバーする国際一流誌 (ネイチャー誌、サイエンス誌、米国科学アカデミー紀要)に掲載される論文のほとんどが生物学の領域である。し かも生命現象はあまりにも複雑であるため、それを探求する生物学は一握りの天才だけが行うことができる研究分野 ではない。その結果生物学には、まさに多様な能力が要求される裾野の広い研究のフロンティアが広がっており、多 くの生物学類卒業生が研究者として就職し、さまざまな研究領域で大活躍している。

Q:生物学類担当教官の研究はどの程度注目されているのか。

A:生物学類担当教官の研究では、基礎コースの場合は、進化遺伝学、系統分類学、環境科学の分野で、機能生物学 コース関連では細胞学、生理学、発生学、遺伝情報学の分野で、人間生物学コース、応用生物化学コース関連ではゲ ノムサイエンス、遺伝子改変生物、生化学の分野で、それぞれ世界的な注目を集める最新の研究成果が上記国際誌に も掲載されている。そしてこれらの成果は、生物学類で学んでいる卒業研究生や、生物学類で学んだ大学院生の精力 的な努力に支えられた結果得られたものなのである。

実用的学問の場合、とりわけ生物学関連分野では再生医療やクローン技術など極めて大きな利益につながることから、 時として企業の研究施設の研究の方がはるかに進んでいる場合がある。しかし、ピュアサイエンスである生物学の場 合は、誰も投資しないため大学の研究施設でしか研究の機会はない。ではそのような基礎研究にどのような意義があ るのだろうか。 基礎研究は、単に実用学問の基礎になるから重要であるということだけでは決してない。また基礎研究は単に多くの 人々の好奇心とロマンを満足させるいわば文化として重要な側面をもっていることだけでもない。実用研究がはじめ から人間の利便性を人間の英知で追求し達成しようという戦略を取るのに対し、基礎研究は人間の英知を直接利益に つなげない。しかし、基礎研究の裾野が広ければ広いほど、偶然思いもよらず実用面の輝きを持つ場面にしばしば出 くわす。「瓢箪から駒」、この偶然こそが基礎研究に人間の英知をはるかに越えた爆発的価値を時としてもたらすのだ。 大学での、そして大学でしかできないこのような基礎研究の魅力はまさにこの点に集約されている。

Q:クラス編成はどのようにするのか。

A:入試の成績や、希望コースと関係なしに定員80名を4クラス(各クラス20名)に編成し、各クラスに1名の担 任が就く。その後1年次の後半にはコース分けが、3年次の後半には卒業研究の指導教官の選択があるが、入学時の クラス編成は卒業まで継続される。

Q:年間どのくらい勉強するのか、実験実習はどれくらいあるのか。

A:本学は3学期制で、1時限が75分の講義を1学期間で約10回分受講して1単位が認定される。生物学類の場合、 講義と実験実習が1年次で約50単位、2年次で約40単位、3年次で約30単位、4年次は卒業研究(6単位)が中 心となる。具体的に言えば、1年次では講義が主体で1日平均5時限分が埋まることになる。2, 3年次では講義数は減るが、その分週に3-4回の実験実習が主体となる。

ただし、誤解してほしくないのは高校までのカリキュラムと違い、大学のカリキュラムの場合は、その内容を完全に 理解すればよいというものではない。最も大切なのは、講義や実習をきっかけとして自分が専攻する分野を見つけ、 その分野の勉強や研究を自ら積極的に進めて行き、その中から卒業までに自分の進むべき進路を決定することなので ある。

Q:他学類や他学群の授業はどのくらい取ることができるのか。

A:1年次には必修科目で時間割のほとんどが埋まってしまうので、他学類の講義を履修するのは難しい。しかし、2 , 3年次では余裕ができるので他学類の講義を履修する機会は十分あり、主専攻コースや時間割の組み方にもよる が、教職を取っている場合を除けば、多い人で年間3-8科目くらい履修が可能である。

Q:コース分けは本人の希望で決定できるか。

A:人間生物学コースのみ実習定員の関係から20名を定員としているが、毎年ほとんど学生の希望通りになっている。 ただし、定員を越えた場合は、主に志望理由書を中心に厳正に選抜している。

Q:海洋生物(水圏生物)に関して学ぶ授業、実習、設備はあるのか。

A:静岡県下田市に全国でも有数の臨海研究施設である下田臨海実験センターがあり、ここには実習船を始め、海洋 生物を研究できる素晴らしい施設がある。カリキュラムの中にもこの施設を使った1週間泊まり込みの臨海実習が幾 つか用意されている。さらに、常駐している教官によるホヤ、ウニ、甲殻類を用いた発生学や生理学の研究、海藻や プランクトンを用いた系統分類学の研究が精力的に行われている。この他、長野県菅平にも菅平高原実験センターが あり、特に昆虫の比較発生学、植物群落生態学、菌類の系統分類学を中心に広大な樹木園、森林、草原を活用した研 究が精力的に行われている。これらの施設では卒業研究や大学院での研究指導が可能である。

Q:パソコンの使い方を教えてもらう授業はあるか。

A:1年次に必修科目として履修する「情報処理(講義)」と「情報処理(実習)」が、パソコンの基本的な仕組みと 使い方を学ぶために用意されている。実習では一人に一台ずつのパソコンを前に、基本的な使い方から、ホームペー ジの作り方まで広範囲に渡って学習する。したがって、少なくともコンピューターに対する抵抗を無くし、必要最小 限の知識と技術を身につけるには十分な内容になっている。

Q:取得できる資格にはどのようなものがあるか。

A:免許としては、中学と高校の理科、資格としては、博物館などの学芸員と都道府県や市町村の教育委員会の社会 教育主事(この場合は、教師が対象となる)がある。ただし、一年次から計画的に単位を履修していないと生物学類 の授業と両立できなくなるので注意が必要である。

Contributed by Jun-Ichi Hayashi, Received August 1, 2002.

©2002 筑波大学生物学類