つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200403KI.

特集:卒業・退官

大学生活を振り返って

石川 香 (筑波大学 生物学類 4年)

 私たち2000年度生物学類入学生は、考えてみれば、20世紀最後の新入生であった。私達が在籍している間に新しい世紀に入り、日本でも世界でも、様々なできごとがあった。振り返ってみれば、本当にあっという間だったような気がする。

 先日行われた学位記授与式と第二学群の卒業祝賀会において、僭越ながら、生物学類の総代として挨拶させていただく機会があった。以下は、その挨拶の内容であり、四年間の大学生活を振り返って実際に感じたありのままの心境である。

−生物学類学位記授与式における謝辞−

 4年前、私たちはここ2B411の教室で、多くの概論の授業を受けました。1学期から時間割順に挙げると、生態学概論、形態学概論、微生物学概論、動物分類学概論、遺伝学概論、植物分類学概論、発生学概論。おそらくこの教室は、私たちの学年がみんな揃って同じ時を過ごした時間が最も多い教室です。その教室に、今約3年ぶりにこうして再び一緒に学んだ仲間が集い、晴れて卒業のときを迎えることができたということを、非常に感慨深く感じます。

 四年間という時間は、長いようでいて、とても短かったように思います。4年前、南北4kmという敷地の広大さに圧倒されながら入学したとき、私たちは互いの名前も顔も知りませんでしたが、それが今では共に多くのレポートや課題を乗り越えてきた、かけがえのない友となりました。初めは指定された教室にたどり着くこともままならない状態でしたが、今では学内で迷うこともなくなりました。友と一緒に多くを学び、多くのことを経験しました。生物学類生にとっての洗礼とも言える基礎生実験では、基本的な実験操作と同時に、カエルの味も知りました。下田や菅平の実習でも、そこでしか観察できない生き物に出会い、そこでしか経験できない体験を得ることができました。専門の授業も、生物学類の個性あふれる先生方のそれぞれのエキスがたっぷり染み込んだ濃い内容で、常に刺激を得ることができました。

 こうして4年という年月を経て生物学類nizeされた私たちは今、想い出多いこの学類を巣立ち、それぞれの道を歩み出そうとしています。社会に出る人、大学院に進んでさらに研究を進めていく人、前にある道は人それぞれですが、素晴しい先生方に出会い、かけがえのない友人を得ることのできたこの4年間を、私たちは非常に誇りに思います。その誇りと、4年間に得たたくさんの想い出を大切にしながら、それぞれの新たなスタートを切りたいと思います。

 最後になりましたが、入学以来私たちの出席状況や単位習得状況をやきもきしながら見守り、時には厳しく、時には優しく指導・激励して下さった学類の諸先生方、卒研の指導教官の先生方、担任の先生方、及び事務の方々に、深く感謝申し上げます。先生方や事務の方々の懸命な努力や指導なしでは、私たちの学年の「留年なし、全員卒業」はなかったと思います。

 そこで、2000年度生物学類入学生一同、先生方を始めお世話になった方々への御礼の気持ちを込めて、近年卒業式で歌われることがめっきり減ったという「仰げば尊し」を最後に歌いたいと思います。

−第二学群卒業祝賀会における謝辞−

 本日は、私たち卒業生のためにこのような盛大な祝賀会を催していただき、深く感謝申し上げます。今、大学全体の卒業式を終えて大学会館からこちらへ向かいながら、広大な敷地と激しいサークル勧誘の嵐に圧倒されながら同じ道を歩いたのは、もう4年も前のことになるのかと、改めて感慨深く思いました。

 この4年間で、私たちは多くのことを学び、多くのことを経験しました。限られた休み時間中に、はるか南の体育専門学群エリアや外国語センターに向かって必死に自転車をこいだことも、同じ建物なのに、角を曲がるたびに建物の名前が変わる不思議な構造の学群棟に戸惑いながら、あたふたと次の授業が行われる教室を探し回ったことも、学籍番号が早い人ほど多くの人の眼に触れる可能性の高かったバインダー綴じ込み式の成績表をわれ先にとむしり取りに行ったことも、今となっては微笑ましい思い出です。4年間経った今も、第二学群のE棟とF棟がどこにあって何に使われているのかは、多くの学群生にとって謎のベールに包まれたままですが、それでも、私たちはかなりの「二学ツウ」になったと思います。学食のメニューもほぼ把握し、「そろそろ鳥のから揚げ丼が出る頃だろう」などという学食予報も一部では行われていました。

 ここに集った卒業生の皆さんは、それぞれ異なる分野の学問を修めたので、4年間の思い出も、卒業後の進路もそれぞれ異なっていると思いますが、多くの個性あふれる先生方や、同じ時をともに過ごしたかけがえのない友人との出会いに満ちたこの筑波大学での4年間を誇りに思っているという点では、おそらく共通していると思います。「私は筑波大学に学び、筑波大学を卒業した」という誇りをアイデンティティーの一つとして胸に秘めながら、その誇りに恥じないような人生をこれから歩んでいきたいと思います。

 入学から卒業に至るまでの間、授業や実験のみならず生活面でも私たちを見守り続け、時には厳しく、時には優しく御指導・ご助言くださった先生方をはじめ、お世話になった全ての方々に、この場を借りて深く御礼申し上げます。また、お忙しい中こうして集まり、私たちの門出を祝ってくださることも、大変嬉しく思います。大学生活の中で先生方から学んだこと、教えられたこと、アドバイスいただいたこと、一つ一つを大切にしながら、これからの新しい生活に活かしていきたいと思います。4年間、本当にありがとうございました。

Communicated by Jun-Ichi Hayashi, Received April 1, 2004.

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