1. Scenedesmus ovaltermus. 土浦港 (2007.2.21). 2. S. disciformis. 土浦港 (2006.10.30). 3, 4. S. acumunatus. 土浦港 (2006.10.30). 5, 6. S. dimorphus. 土浦港 (2006.10.30). Scale bar = 10 µm.
植物界 緑色植物亜界 緑藻植物門 緑藻綱 ヨコワミドロ目 イカダモ科
セネデスムス属(イカダモ属)
Scenedesmus Meyen 1829, Verhandl. K. Leopol. Carol. Akad. Naturf. 14: 774.
Type species: Scenedesmus obtusus Meyen 1829
Synonyms: Rhynchodesmus Chodat 1926; Tetradesmus G.M. Smith 1913; Schroederiella Woloszynska 1914

ふつう4または8(ときに2、16,32)細胞が1列(ときに2列、図2)に連なって不動性定数群体を形成する。まれに単細胞性。ときに寒天質で包まれる。細胞は楕円形から弓状。細胞壁は繊維質(セルロース性)の内層とスポロポレニン性の外層からなり、表面は平滑、刺をもたない。細胞は単核性だが成熟すると多核性。葉緑体は1個、沿膜性、デンプン鞘が連続的で明瞭なピレノイドを1個もつ。ピレノイド基質に貫入物はない (EM)。群体の細胞数、細胞の大きさ、群体内で細胞の配列などには種内で大きな変異を示すことがある。

ふつう各細胞内で細胞分裂して娘群体を形成する (図6)。有性生殖はまれだが、各細胞が配偶子を形成し、同型配偶子接合を行うことが Scenedesmus obliquus で報告されている (Trainor 1993)。接合子の形態やその後の過程は未知。

数百種が記載されている大きな属だが、かなりの種が Desmodesmus へ移され、また今後移される種も多いと思われる。最近では細胞両端が尖っている種(図3-6)は別属の Acutodesmus (Hegewald) Tsarenko in Tsarenko and Petlevanny 2001 に分類されることがある (Tsarenko & Petlevanny 2001, Hegewald & Wolf 2003)。細胞の大きさ、形態、群体の外形などで種が分類されているが、前述のように種内での多型が大きいため、分類は難しい。

世界中の淡水止水域に非常に普遍的に生育する。霞ヶ浦では Scenedesmus ovaltermus, S. disciformis, S. acumunatus, S. dimorphus が見られるが、特に後2種は多い。

参考文献 References