つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200403HS.

特集:卒業・退官

3クラス卒業生へ

杉田 博昭 (筑波大学 生物科学系)

 生物学類の1年生の担任をしたことは、記憶の彼方に消えかけていましたが、最後にあげたクラスセミナーの発表課題をみてはっきりと鮮やかに思い出すことができました。

 早いものでもう君たちも卒業ですね。

 各個々の4年間が、波乱に満ちたワクワクするものだったのか、平々凡々の単位を取るだけのもの(これは悪い意味で言っているのではありません)だったのか--どちらであってもそれぞれの4年間はこれからの各自の生き方になんらかのものを与えるはずです。

 私の大学4年次(卒業研究)は半年で終わりました。もちろん、それは私が優秀だったからではありません。君たちの中には耳にしたこともない人がいるかもしれませんが、「大学紛争」のさなか--東京大学では安田講堂での攻防戦がありました--東京教育大学(筑波大学の前身:正確には筑波大学と教育大学は別大学)でもミニ攻防戦がありました。私は反学生運動の立場をとっていたので、紛争に荷担することなく(紛争に伴う)休校を(不誠実に)活用させてもらいました。7人のクラスメートと車2台で1週間以上に及ぶドライブ旅行を楽しみました。この旅行の途中で静岡の登呂遺跡によりましたが、それが何であったか忘れましたが、遺跡を見学している時に、突然伝統という言葉の意味が解ったような気がしました(なぜかこのときの感情をはっきり覚えています)。

 さて、余分な、しかし私にとっては大切な経験について書きましたが、4年間の大学教育が、あなた方のこれからの人生の折に触れての経験をより豊かな実りあるものにすることは確かでしょう。あなた方のこれからの人生がより豊かなものであることを祈念します。

 半年でおこなった私の卒業研究は、カブトガニの発生に関するもので、これが契機となり以後30年以上にわたりカブトガニに関する調査・研究・実験を続けてきました。紙面に彩りを与えるために、また筑波大学生物学類在籍していてカブトガニの写真も見たこともないということの無いようにカブトガニのカラー写真をのせておきます。

 最後に、クラスセミナーでの発表課題一覧を発表順に記しておきます。入学当初の各自の興味と関心を思い起こせるのではないでしょうか。4年にわたる生物学類での教育・研究が当初の興味と関心にどのような変化を与えたのでしょうか?また与えなかったのでしょうか?この4年間を基礎にして、さらなる発展をなさることを期待します。

9月6日   堀川誠 「宗教について」

9月13日  白戸洋章 「スプリング・エイトの話」

9月20日  須田教子 「植物のワレモコウ、ルツボの名前の由来」

9月27日、10月4日 双峰祭の準備

10月11日 上久保真里 「昆虫について」

11月1日  工藤稚子 「ハイパービルディング」

11月8日  横田英恵 「カイコ(養蚕)について」
       本橋典子 「スキューバダイビング、スキンダイビング」

11月15日 丸山泰 「相対論(アインシュタイン)」
       冨家久益子 「魚につくアメーバ状微生物:フェステリア」

12月6日、12月13日 コース説明会など

12月20日 野田慎一 「池田大作」
       秦千夏子 「版画について」

1月10日  中村智 「サッカーの歴史」
       田上泰史 「音について」

1月17日  斉藤雄久 「バスケについて」

1月24日  上田壮志 「神道について」

1月31日  小林雅枝 「温泉について」
       大桑浩輔 「卓球、混合Wをしに行く」

2月14日  江美敦子 「ライフセービング」
       石田健太郎 「チエのワ」

2月21日  石川真知子 「武道とは、合気道とは・・・」
       吉田直樹 「ラクビーについて」

 最後に、このクラスセミナーの発表者の中にはありませんが、松瀬裕美さんも11月始め頃まで参加していたことを記しておきます。

Contributed by Hiroaki Sugita, Received March 24, 2004.

©2004 筑波大学生物学類