有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 アンボレラ目
アンボレラ科
AmborellaceaePichon nom. cons.
高さ2〜6mの常緑低木。維管束形成層による二次成長を行う。導管を欠き、長い仮導管をもつ。仮導管の壁孔は円形または階紋状。篩管要素の葉緑体はS型。軸方向柔組織は散在。一次放射組織は細い。節は1葉隙1葉跡性、葉跡は弧状。葉は螺性〜2列互生し、単葉。葉縁には弱い鋸歯があり、波打っている。羽状脈。托葉を欠く。気孔は不規則型。精油細胞を欠く。内鞘にはhippocrepiform厚壁異形細胞がある。 雌雄異花で異株。腋生する集散花序に直径 5 mm ほどの小さな花がつく。花は放射相称、花托は発達し突出 (雄花) または窪む (雌花)。 花被片は白から黄白色、離生 (基部でやや合生?)、5〜8枚がらせん状につく。がく片状のものから花弁状まで段階的に変化する。1葉跡性。 雄花には雄しべが10〜25個 (ときに100個以上)、離生、輪生する (3〜5輪)。雄しべは求心的に成熟 (?)。外輪の雄しべは基部で花被に合着することがある。雄しべは扁平で無柄、維管束は分枝する。葯は外向、沿着、縦裂する。小胞子形成は連続型で花粉四分子は双同側型。花粉粒は基本的に単溝粒だが発芽孔は不明瞭 (anaulcerate)。花粉粒のエクテキシン(外層)は顆粒状で柱状体を欠き (無テクタム性)、エンデキシン (内層) は非層状。 雌花は仮雄しべ1〜2個と離生心皮の雌しべを5〜6個もつ。雌しべは輪生する (1輪)。先端が完全には閉じていない不完全心皮で花柱を欠く。子房上位。胎座は頂生 (縁生?)、各心皮に1個の半倒生胚珠がある。胚珠は無柄。外珠皮は4〜5細胞層、カップ状。珠孔は内珠皮性。胚嚢は1胞子性、8細胞9核性 (3個の反足細胞、2個の極核をもった中央細胞、3個の助細胞、1個の卵細胞)、両極型、極核は合点付近にあり、反足細胞は早期に崩壊。 果実は集合性の核果。楕円形で長さ 1 cm ほど、赤熟する。内果皮ではなく中果皮が核になり、表面に彫紋がある。種皮は木化しない (一部木化しているとの報告もあり)。外種皮は薄壁多角細胞からなる。種子は3倍体の内胚乳を含み、胚は非常に小さいが分化している。子葉は2枚。 染色体数 n = 13。ミトコンドリアゲノムが巨大であり、蘚類など複数の植物から水平転移したと思われる遺伝子が多数存在する (e.g. atp1)。この特徴はアンボレラでのみ見つかっているが、他にもこのような例があるのかもしれない。アルカロイドなどの有無は不明。精油を欠く。アルミニウム蓄積能をもつ。 ニューカレドニア島の多雨林に生育する Amborella tricopoda のみが知られる。発見当時から原始的な被子植物だと考えられ、クスノキ目モニミア科または独立した科として扱われてきた。近年の分子系統学的研究から、現生被子植物の中で最も初期に分かれたものであることが有力視されている。 |