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1. コウホネ、2. オオオニバス、3. ヒツジグサ、4. Nymphaea alba.
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有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 スイレン目
スイレン科
NymphaeaceaeSalisbury
Synonyms: バルクラヤ科 Barclayaceae (Endlicher) H.-L. Li; オニバス科 Euryalaceae J. Agardh; コウホネ科 Nupharaceae A. Kerner
根茎または塊茎をもつ水生の一年草または多年草。二次成長しない。導管は仮導管的。木部は中原型、原生木部間隙(protoxylem lacunae)をもつ。篩管要素の葉緑体はS型。初生根はすぐに退化。不定根は節から生じる。根端には二次原表皮があり、表皮は皮層外層から生じる。根の通気組織には隔壁がある。根毛形成細胞は縦列。proximal cell は小さい。 茎は非浮水性、維管束は散在または同心円状に配列。 節は3葉隙3葉跡性。葉はふつう互生。沈水、浮水または抽水葉。単葉、全縁、楯形のことが多い。葉脈は基本的に掌状。托葉は向軸側に存在もしくはこれを欠く。芽内形態は内巻き。気孔は不規則型。花や芽はしばしば葉腋以外につく (不定芽)。 ふつう連合乳管が存在。しばしば通気組織をもつ。4細胞性の大きな頭部をもった腺毛がある (hydropotesとよばれる)。星状厚壁異形細胞をもつ (蓚酸カルシウムを含む)。 花は単生、大形の両性花。長い花柄の先につき、ふつう水面または水上にでるが、まれに水中にある (閉鎖花)。花托はしばしば突出する。がく片は4〜多数、瓦重ね状。花弁は4〜多数 (Ondineaは欠くことがある)、多くは離生でらせん状につき、瓦重ね状。バルクラヤ属 (Barclaya) では輪生で合生。 雄しべは多数で螺生、離生だが、ときに輪生、花弁に合着 (バルクラヤ属)。求心的に成熟。しばしば外側が仮雄しべになり、花弁と連続的(オオオニバスでは最内輪が仮雄しべ)。花糸はふつう幅広く、3本の維管束が入る。葯隔ありまたはこれを欠く。タペート組織には腺状型とアメーバ状型の両方が見られる。小胞子形成は同時型。花粉は3核性、帯溝粒または無口粒。エクテキシン (外層) は均質に顆粒状、エンデキシン (内層) は層状。 心皮は3〜多数、輪生、側部で互いに合生し、受精後に合着が進むものが多い。柱頭は乾性。心皮は基部ではがく片・花被片(ときに雄しべ)と合着、子房上位〜下位。1心皮に (3〜) 多数の直生胚珠が面生胎座につく。外珠皮はカップ型、珠孔は内珠皮または両珠皮性。甲虫による虫媒花が多く知られる。 果実は集合性の堅果、閉果、漿果、または不規則に裂開するさく果など。 種子はしばしば仮種皮をもつ。内種皮型種子。内胚乳は細胞性で未発達。胚と内胚乳を囲む発達したデンプン質の外胚乳がある。胚は大きく緑色または白色。子葉は2枚、しばしば融合しており、地下性。 染色体数 n = 10, 12, 14-18。葉緑体ゲノムの反復配列中に逆位あり。デンプン粒は複合型 (compound type)。青酸配糖体、イリドイド配糖体を欠く。ときにアントシアニジン(シアニジン、デルフィニジン)やフラボノール (ケンフェロール kaempferol、クエルセチン quercetin、ミリセチン myricetin)、水和性エラグ酸、セスクイテルペンアルカロイド (sesquiterpene [pseud]alkaloid) をもつ。サポニンを欠く。アルミニウム蓄積能は知られていない。 世界中の熱帯域から冷温帯域に広く分布し、湖沼や河川など淡水域に生育する。6属約60種が知られる。スイレン (Nymphaea, water lily) やコウホネ (Nuphar, yellow water lily)、オオオニバス (Victoria) などよく知られた水生植物を含み、観賞用として栽培されるものも多い。スイレン科にはハス (Nelumbo) が含まれていたことがあるが、現在では遠縁な植物であることが判明している (真正双子葉類、ヤマモガシ目、ハス科)。オニバス科、バルクラヤ科を分けることもあり、またハゴロモモ科を含むこともある。 |