有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 アウストロバイレヤ目
マツブサ科 SchisandraceaeBlume, nom. cons.
Synonym: サネカズラ科 Kadsuraceae Radogizky

常緑または落葉性の藤本。マツブサ属では巻きつき茎は時計廻り。維管束形成層による二次成長を行い、コルク形成層をもつ。仮導管と導管細胞をもつ。導管の穿孔は階紋穿孔または単穿孔。篩管要素の葉緑体はS型。二次木部の柔細胞はapotracheal。節は1葉隙3葉跡性。葉は互生で螺生または2列生し、しばしば枝先に束生する。単葉、全縁または鋸歯をもち、葉脈は羽状。芽中姿勢は内巻き。托葉を欠く。葉身にしばしば腺点がある。ふつう粘液細胞をもつ。毛は単純または欠く。気孔はlaterocytic。球形の精油細胞をもち、しばしばタンニンを有する。星状厚壁異形細胞をもつ。

花は単性花で雌雄同株または異株。花序は有限だが、花数は1-4個に単純化している。腋生または茎上生、苞葉有りまたはなし。花は放射相称、花要素は螺生。花托はやや突出。 花被片は多数不定 (5〜24枚)、螺旋状につき、離生、ふつう外側のものは萼片状で内側のものは花弁状。花弁状のものは白色、クリーム色、黄色、ピンク〜赤色。瓦重ね状。 雄しべはふつう多数 (4〜80本)、螺旋状につく。離生または花糸が合着。求心的に成熟。ときに内側のもの3〜22個が仮雄しべになる (サネカズラ属)。花糸は短く、葯隔が発達。葯は沿着または底着、内向〜外向、縦裂。葯の内被には繊維状肥厚があり、1〜3層の中間層をもつ。葯の表皮は宿存性。タペート組織は腺状型。小胞子形成は同時型で小胞子配列は四面体型または十字型。花粉粒は2細胞性、六または三溝粒だが、真正双子葉類のものとはcolpusの形状が異なる。 心皮は12〜多数、離生し、螺生する。不完全心皮。柱頭は心皮側面に帯状に伸び、湿性、乳突起をもつ。子房は上位、1心皮あたりふつう2〜5個の胚珠がある。胚珠は縁辺胎座、倒生胚珠〜湾生胚珠、珠皮は2枚、厚層珠心。珠孔は内珠皮性。胚嚢はマツブサ型(2個の助細胞、1個の卵細胞、1個の極核をもった中央細胞)。 虫媒花。花の発熱が報告されている。

果実は漿果 (集合漿果)。個々の小漿果はふつう2個の種子をもつ。種子は扁平。外種皮はときに柵状、内種皮もリグニン化する。内胚乳発生は造壁型、デンプン質で脂質を含む。胚発生はアカバナ型またはキク型。胚は線状で小さいが分化している。子葉は2枚。

染色体数 n = 7。テトラサイクリックトリテルペンをもつ。青酸配糖体、イリドイド配糖体を欠く。プロアントシアニジン(シアニジン、デルフィニジン)やフラボノール(ケンフェロール kaempferol、クエルセチン quercetin、ミリセチン myricetin)を含む。フラボンを欠く。エラグ酸、アルブチン、サポニンを欠く。ネオリグナンをもつ。

マツブサ属 (Schisandra) とサネカズラ属 (Kadsura; 側系統群かもしれない) が含まれ、約50種が知られる。シキミ科を含むことがある。東〜東南アジアと北米南東部の暖帯から亜熱帯にかけて隔離分布する。