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1. シキミ、2. シキミの果実、3. Illicium floridanum.
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有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 アウストロバイレヤ目
シキミ科
Illiciaceae(Candolle) A. C. Smith, nom. cons.
常緑の小高木または低木。維管束形成層による二次成長を行う。木部は仮導管と導管をもつ。導管の穿孔は網状。一次放射組織は薄い。二次木部の柔細胞はparatracheal。篩管要素の葉緑体はS型。粘液細胞をもつ。 節は1葉隙1葉跡性。葉跡は弧状。毛は単純。 葉は互生で螺生し、しばしば枝先に束生する。単葉、全縁、革質、葉脈は羽状。葉柄をもち、托葉を欠く。芽中姿勢はsupervolute。気孔はふつう下面気孔性、平行型ときに不規則型。葉身にしばしば腺点がある。球形の精油細胞をもち、しばしばタンニンを有する。星状厚壁異形細胞をもつ。 花序は有限だが、花数は1-3個に単純化している。長い花柄をもち腋生。花は両性、放射相称。花托は凹形または低円錐形。 花被片は多数(7〜30枚)、螺旋状につき、離生、外側のものは萼片状で内側のものは花弁状。瓦重ね状。 雄しべはふつう多数(5〜20本)、離生し、螺旋状につく。求心的に成熟 (?)。ときに外側のものが仮雄しべになる。花糸は太く短く、葯とはやや未分化。葯は沿着で内向〜側向、縦裂。葯の内被には繊維状肥厚があり、2層以上の中間層をもつ。タペート組織は腺状型。小胞子形成は同時型で小胞子配列は四面体型。花粉粒は2細胞性、三溝粒だが、真正双子葉類のものとは異なる。 心皮は5〜20枚、離生し、偽輪生する。不完全心皮。心皮間は受精後に合着が進む。柱頭は花柱側面に帯状に伸び、乾性、乳突起を欠く。子房は上位、1心皮あたり1個の胚珠がある。胚珠はふつう基底胎座、倒生胚珠で珠皮は2枚、厚層珠心。胚嚢はマツブサ型、単胞子性で4核4細胞 (2個の助細胞、1個の卵細胞、1個の極核をもった1個の中央細胞)。蜜腺は雄しべの基部にある。虫媒花で自家不和合性。花の発熱が知られる。 果実は輪状に集合した袋果(集合袋果)。個々の袋果は腹縫線で裂け、それぞれ1個の種子をもつ。種子は平滑で堅い種皮を持つ。外種皮にはsinuous anticlinal wallsがある。内胚乳は複相、油性。内胚乳発生は造壁型または遊離核型。デンプン質の外胚乳をもつ。胚発生はキク型。胚はクロロフィルを欠き、小さいが分化している。子葉は2枚、実生はphanerocotylar。 染色体数 n = 13, 14。テトラサイクリックトリテルペンをもつ。青酸配糖体、イリドイド配糖体を欠く。プロアントシアニジン(シアニジン、デルフィニジン)やフラボノール(ケンフェロール kaempferol、クエルセチン quercetin)。フラボンを欠く。エラグ酸を欠く。アルミニウム蓄積能をもつ。 シキミ属のみが含まれ、約40種が知られる。マツブサ科に含まれることもある。東〜東南アジアと北米南東端部、中米および西インド諸島の暖帯から亜熱帯にかけて隔離分布する。多くは雲霧林に生育する。トウシキミ(Illicium verum)は食用や薬用(大茴香、八角茴香)とされ、シキミ(Illicium anisatum)は仏事用に栽培される。観賞用に栽培されることもある。 |