![]() [根子岳中腹]
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ヤハズハンノキ
矢筈榛之木
Alnus matsumurae Call.
真正双子葉類 バラ目群 ブナ目 カバノキ科 ハンノキ属
本州中部地方の山地帯上部〜亜高山帯下部に生育する落葉高木。崩壊地や沢沿いなどに多い。根子岳中腹で見られる。高さ 10〜15 m、胸高直径 20〜40 cm。樹皮は灰黒色でなめらか、横長の皮目が多い。若い枝は暗灰紫色、無毛、横長の皮目がある。葉は互生、葉身は先端がへこんだ特異な矢筈形で 5〜10 x 3〜9 cm、基部は広くさび形 (写真)。葉縁には不揃いの浅い重鋸歯がある。側脈は6〜9対、表面で凹、裏面で凸。表面は濃緑色で無毛または脈上にわずかに毛があり、裏面は灰白色で脈上に軟毛がある。葉柄は長さ1〜3 cm、無毛。 雌雄同株。花期は4〜5月、葉の展開とほぼ同時に開花する。雄花は枝先から垂れ下がる尾状花序を形成する。 雄花は花被をもち、苞の腋に3個ずつつく。雄しべは4個。 雌花は雄花序の下方に直立する花序を2〜5個形成する。苞の腋に2個ずつつく。雌花は花被や雄しべを欠く。雌しべは2心皮性。花柱は紅色で2裂する。風媒花。 果実は堅果、果錘は楕円形、長さ1.5〜2 cm。果鱗は扇形、長さ4〜5 mm。果実が熟しても果鱗は落ちない。1つの果錘に多数の小さな堅果がつく。堅果は扁平な広楕円形、長さ約 3 mm。頂部には花柱が残り、両側には幅0.5 mmほどの翼がつく。堅果は風散布される。 |