ヤブツバキ 薮椿
Camellia japonica
真正双子葉類 ツツジ目 ツバキ科 ツバキ属

北海道を除く日本全国の常緑広葉樹林帯に広く生育する常緑高木。日本の常緑広葉樹林帯の植生はヤブツバキクラスとしてまとめられることもある。また庭や公園などさまざまな場所に植栽される。高さ 6〜15 m。樹皮は灰褐色〜黄褐色で平滑。葉は互生、長さ 5〜10 cm の楕円形、先端が鋭く尖り、縁に細かい鋸歯がある。厚く革質、表面は濃緑色で光沢があり、表裏とも無毛(類似種のサザンカでは主脈上に毛が密生)。

花期は11〜3月、枝先の葉腋に直径 5〜7 cmほどの大きな赤色の花をつける。鳥媒花であり、メジロやヒヨドリによって花粉媒介される。花柄は約 5 mm。萼片は苞葉と連続的でらせん状につく。花弁は長さ 3〜5 cm、5枚で赤色、基部で互いに合着する。雄しべは多数、花糸の下半部で筒状に合着している。花糸は花弁とも合着する(そのためまとめて花が落ちる)。雌しべは1個で花柱は3裂する。 果実はさく果、直径 2〜3 cm の球形。熟すと3裂し、3〜5個の種子を出す。種子は大きく長さ 2〜2.5 cm。種子からは油(椿油)をとる。

日本海側の多雪地帯のものは幹が地を這い、花糸が黄色(ヤブツバキは白色)などの違いがあり、変種ユキツバキ(var. decumbens)とされる。また屋久島や南西諸島のものは実が大きく(直径約 6 cm)、変種ヤクシマツバキまたはリンゴツバキ(var. macrocarpa)に分類される。

さまざまな園芸品種があり、花弁の色(白・ピンク・混色)や枚数(八重咲きなど)はさまざま(中、下写真)。