1, 2. Dinophysis caudata. 生細胞. 下田沖 (2010.5.17). Scale bar = 20 µm (1, 2 共通).
渦鞭毛植物門 渦鞭毛藻綱 ディノフィシス目 ディノフィシス科
Dinophysis caudata Saville-Kent 1881
Synonym: Dinophysis homunculus Stein 1883

単細胞遊泳性。細胞はやや角張った長卵形で左右に扁平、後端に太く長い突起がある。細胞長は 70-110 µm。細胞前端に前後を翼片で囲まれた横溝がある。前方翼片は前後長が長く、盃状、肋が多数ある。後方翼片は前後長が短く、縦溝に沿って後方へ伸び、縦溝左縁翼片と縦溝右縁翼片になる。縦溝左縁翼片は縦溝右縁翼片より長く、ほぼ一定の幅で後方へ伸び、長さは体長の1/2程度。縦溝左縁翼片には3本の肋がある。細胞腹面は直線的で背面は後方で突出する。鎧板表面には小さな窪みが密生する。分裂直後の個体が左右対称につながっているものがときに見られる。 赤褐色の葉緑体をもつ。この葉緑体様構造はクリプト藻起源の盗葉緑体であると思われる。

類似種としてDinophysis tripos Gourret 1883 がある。この種は細胞後端の突起が2本ある点で本種と異なるが、中間的な個体もあり、区別は必ずしも明瞭ではない。

世界中の暖海域に広く分布する。本邦周辺では暖流の影響が強い海域での出現頻度が高い。赤潮を形成し、魚介類の弊死を引き起こした報告があるが (Okaichi 1967)、毒性についてははっきりしていない。

参考文献 References