つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2003) 2: TJB200312MN.

特集:下田臨海実験センター設立70周年記念

野崎眞澄 国立大学臨海・臨湖実験所長会議議長

(新潟大学理学部附属佐渡臨海実験所長、内分泌学)

 下田の臨海実験所は旧制大学の付属で、いわゆる戦前からある施設の一つで、歴史も長く、そしてさらに、元々教育大の臨海実験所でしたので、先生方の教育とか、いわゆる高等教育に熱心な大学の伝統がそのまま生きています。筑波大学に移ってからも、高校の先生方を対象とした、いわゆる再教育活動というのですか、そういったものが非常に盛んです。

 もちろん、ほかの大学の臨海実習なども積極的に受け入れていまして、全国に20近く臨海実験所があるのですけれども、その活動のアクティビティーの高さというものは、東京大学の三崎の臨海実験所、それから京都大学の白浜、瀬戸の臨海実験所、それとあと筑波大学の下田臨海実験所が、3本の大きな柱になっています。あとの大学の臨海実験所は、大体は自分の近くの地方の大学を受け入れているということになっていますけれども。そのような意味では、いわゆる教育活動のアクティビティーの高い臨海実験所の一つです。

新潟大学理学部附属佐渡臨海実験所

 やはり臨海実験所の良さというのは、一つは、寝食を共にする、同じかまの飯を食う、そのようなことで、いわゆる自分たちの日常では得られない仲間意識というのですか、そのようなものが芽生える。例えば、高校生あるいは大学生であれば、自分たちの将来の夢をはぐくむような、そのような機会をやはりインパクトとして与えてくれるものですね。だから、高校生であれば高校の学校内だけでなく、あるいは大学生なら大学のキャンパスだけでない再発見の場といいますか、自分の行く道を見付けてくれるような、そのような場というのが、やはり臨海実験所にあるのです。だから、これからも益々、そのような臨海実習、体験学習の場が求められ、その要求に答えるということが、臨海実験所に与えられた大きな役割であると思っています。

Contributed by Taketeru Kuramoto, Received October 21, 2003, Revised version received October 28, 2003.

©2003 筑波大学生物学類