つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2003) 2: TJB200306NA.

第二回筑波大学技術発表会に参加して

安部 七恵 (筑波大学 生命・情報等教育研究支援室(生物学類))

 私は、平成15年3月18日の第二回筑波大学技術職員技術発表会で、つくば生物ジャーナルについて発表しました。

 当初、技術発表会の発表者募集のお知らせがあり、これをご覧になった林学類長より、つくば生物ジャーナルについて発表し、生物学類の活動をアピールしてほしいと強い要望がありました。

 私は、自分が携わっているジャーナルやホームページの仕事が、技術発表会の内容に相応しいものなのか、戸惑いを感じてしまいました。技術発表会で発表する方々は、医学・理工学関係の研究に携わっていて、学会で発表しても遜色のない内容で、私のように日常業務の紹介だけの発表とはあまりにもギャップがあり、ただのお笑い種になってしまうのでは、と思ったからです。技術発表会の取り纏め役の一人である工作センターの内田氏に問い合わせると、「日常業務の紹介の発表も歓迎します。力を抜いた、自然体でいいのですよ。」との励ましのお言葉をいただきました。無理な背伸びなどせず、自分でできる発表をすればよいのだと、自分自身に言い聞かせポスター発表での申し込みをし、つくば生物ジャーナルの編集の仕事にともに携わっている丸尾文昭先生と連名での発表とさせていただきました。

 発表申込み者は、発表に先立ち予稿集の原稿を作成し提出しなければなりませんでした。面倒な仕事への取り掛かりの悪い私は、締め切り1週間前になっても原稿文の1行も書けず来週やろうなどと後回しにしておりました。ところが、保育所に預けている子供が、インフルエンザにかかり挙げ句私もインフルエンザにかかってしまい、原稿締め切り日に間に合わない状況になってしまいました。内田氏に事情を話し原稿の提出が遅れることご理解いただきました。

 原稿文を書き終え、丸尾先生にPDF形式にしていただいていると、今朝の読売新聞につくば生物ジャーナルが紹介されているとの情報が舞い込みました。このことについても、予稿集の原稿に入れなければもったいないと思い、急遽書き足しました。原稿の提出が1週間も遅れてしまい、内田氏や加速器センターの大和氏には甚だご迷惑をかけてしまいましたが、しかしその結果、読売新聞記事のことを予稿集に織り込むことができました。

 発表間際、別々のテーマで発表する同僚の路川氏にポスター発表の仕方を尋ねると、「当日はどんなことを質問されても答えられるようでなければ」とのこと、私にはそのような自信はありませんでした。自分自身の頭の中ではある程度分かってはいても、それを他の人に分かりやすい言葉で説明できるのかどうか不安でした。どういう質問が出てくるかを想定して、自分の言葉として説明できるよう付け焼刃で練習しました。

 発表当日、つくば生物ジャーナルの印刷物を会場である大学会館まで、路川氏、生物学類2年生(当時)の今井君、野水さんが運搬し手伝ってくれました。そして、丸尾先生が準備してくださった、つくば生物ジャーナルの創刊号から2月号までの表紙や目次等のカラープリントを、カラーの模造紙の上に貼りだしました。生物科学系事務室から貸して頂いたノート型パソコンも発表会場に設置し、つくば生物ジャーナルと生物学類ホームページが自由に閲覧できるようセットしました。つくば生物ジャーナルの印刷物も自由にお持ちいただけるようセットしました。

 技術発表会参加者は受付者だけでも90名以上に上り、ポスター発表もたくさんの方々にご覧いただけました。つくば生物ジャーナルの印刷物は、創刊号・Vol.2No.2ともに24部ずつ配本することができました。中でも、群馬大学や埼玉大学からの参加者の方は熱心で、つくば生物ジャーナルの創刊の経緯やどのように投稿してもらっているのかなどを尋ねられました。Vol.2No.2の卒業研究発表会要旨集の特集号については、投稿者79名分の学生個々の写真入りプロフィールを作成していることなどをパソコン上で説明すると、「すごいですね。」「大変でしたでしょう。」という驚きや労いのお声をいただきました。

 私は今まで、つくば生物ジャーナルや生物学類のホームページを通して、学内はもちろん学外の多数の方々にも情報発信してきました。たくさんの方々を相手としているのに、パソコンという機械を介しているため全く相手の顔が見えません。相手が何を思い、何を考えているのか窺い知ることができず、画面を見つめるだけで、焦燥感や不安感のみつのりました。しかし今回、技術発表会という場で初めて相手の顔を見ることができました。自分が相手としているのは、パソコンではなく、人なのだと再認識することができました。

 今回の技術発表会はたくさんの方々に支えられ、そして励まされ何とか無事に終えることができました。この場をお借りしお礼申し上げます。

Communicated by Yoshihiro Shiraiwa, Received May 26, 2003.

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