有胚植物 維管束植物 種子植物 被子植物 マツモ目
マツモ科 Ceratophyllaceae S.F. Gray

淡水に生育する沈水性の多年草。根を欠き、茎の変形した根様の分枝によって水底につく。二次成長しない。茎は細くもろい。茎には1本の維管束があり、中心にはair canal、周囲には細長い貯蔵細胞(デンプンを含む)がある。導管を欠く。 葉は節に3〜10輪生し、無柄、しばしば二叉状に分岐し、全縁または鋸歯がある。托葉を欠く。葉には気孔やクチクラ層がない。精油細胞を欠く。

花は単性で雌雄同株(まれに異株)、葉腋に単生し、水中で開花する。花柄はない。花被片は維管束を欠き、苞葉状(苞葉とする考えもある)、6〜13枚、輪生し基部で合生する。 雄花では10〜46本の雄しべがらせん状(?)につく。離生。雄しべは長楕円形、花糸は欠如または短く、葯隔は肉質で突出し、先端が2〜3裂する。葯は2個、外向、沿着。各葯は2室、不規則にまたは縦に裂ける。タペータムはアメーバ状型または分泌状型。小胞子形成は順次型または同時型。花粉は発芽溝のない無溝粒で壁が薄く、エキシンは退化的。花粉は2細胞性。 雌花には長い花柱をもつ1個の1心皮性雌しべがある。仮雄しべを欠く。柱頭は小さく側生。子房は上位で、1室、1個の直生胚珠が下垂する。珠皮は1枚、厚層型珠心。nucellar capをもつ。胚嚢発生はタデ型。極核は受精前に融合。hypostaseをもつ。蜜腺を欠く。水流により花粉媒介される水中媒花。

果実は痩果で、ふつう2〜4本のとげ状突起があり、花柱が宿存する。種子は1個。内胚乳形成は細胞型。外胚乳を欠く。胚発生はキク型。成熟種子は胚乳を欠き、種子は緑色の大きな直生の胚で占められる。子葉は2枚。芽生えはphanerocotylar。

染色体数 n = 12。プロアンソシアニジンをもつ(シアニジン、デルフィニジン)。青酸配糖体、アルカロイド、フラボノール、エラグ酸、精油を欠く。アルミニウム蓄積能は知られていない。

マツモ属(Ceratophyllum)のみが含まれ、数種が知られるが、変異が大きく種レベルの分類には諸説ある。世界中の淡水域に広く分布する。化石記録は古く、白亜紀初期にまでさかのぼる。被子植物の中でかなり初期に分岐し、水中生活に特殊化したグループだと考えられている。単子葉類との類縁性も示唆されている。