ユリ科
Liliaceae Jussieu nom. cons.
Synonyms: カタクリ科 Erythroniaceae Martynov, バイモ科 Fritillariaceae R. A. Salisbury, Liriaceae Batsch, メデオラ科 Medeolaceae Takhtajan, チューリップ科 Tulipaceae Batsch, カロコルツス科 Calochortaceae Dumortier, スコリオプス科 Scoliopaceae Takhtajan, ホトトギス科 Tricyrtidaceae Takhtajan nom. cons.
種子植物 被子植物 単子葉類 ユリ目
根茎または鱗茎をもった多年生草本。湿生〜乾生植物。二次成長を欠く。根のみに導管がある。導管は階段穿孔をもつ。篩管の葉緑体はP型 (タイプII)。 収縮根をもつ。ときに根被をもつ。根には下皮が存在。ふつう茎は分枝しない。 葉は互生 (螺生)、ときに対生または輪生、ときに根生葉のみ。単葉、全縁。ときに葉柄をもつ。托葉を欠き、ときに基部は葉鞘となる。ふつう平行脈。ときに単面葉。気孔は不規則型。 花序は総状、散形、円錐、ときに単生。頂生または腋生。総苞を欠く。ときに小苞をもつ。 花は両性、ふつう大形で放射相称、ときにやや左右相称、3数性。花要素は輪生で5輪につく。 花被片は2輪6枚、離生。異花被花または同花被花。後者の場合、ふつう全て花弁状。花被片にはしばしば斑点や筋がある。 雄しべは6個、2輪、離生、花糸は明瞭。葯は丁字着または背着、内向葯または側向葯、縦裂。葯の内被はらせん状肥厚をもつ。1層以上の中間層をもつ。タペート組織は分泌型。小胞子形成は連続型。花粉はふつう単溝粒、ときに有蓋粒 (チューリップ属)。2細胞性。 心皮は3、合生、輪生。柱頭はふつう分裂せず、乾性または湿性。子房上位。各心皮に2〜多数の倒生胚珠があり、中軸ときに側膜胎座。ふつう胚珠は二珠皮性で厚層珠心。珠孔は内珠皮性。 胚嚢発生はユリ亜科では4胞子性でバイモ型、他の亜科ではタデ型。極核は受精前に融合。 蜜腺は花被片基部にある。虫媒花。 果実はさく果(胞背裂開、胞間裂開)または漿果。種子は扁平で種翼が発達、または球形。種皮は黒くない (ファイトメラニンを欠く)。外種皮は柵状またはリグニン化。内種皮も残存。内胚乳形成は水生目型。内胚乳は油性でユリ亜科では細胞は5倍体。胚発生はアカバナ型。胚は短く、上胚軸を欠く (短い?)。子葉はときに光合成能を欠く。 染色体数は n = 6-14、基本数は12。染色体は大型のものが多い (1.5-27 µm)。貯蔵デンプンはシダ型。葉肉にシュウ酸カルシウム結晶を欠く。フルクタン、フラボノール、tuliposidesをもつ。ときにサポニン、アルカロイドをもつ。プロアンソシアニジン、青酸配糖体、ケリドン酸、エラグ酸を欠く。C3植物。 北半球温帯域、特に東アジアと北アメリカに多く分布する。16属635種が知られる。伝統的にはユリ科は非常に大きなグループとして扱われることが多かったが、この意味でのユリ科は明らかに多系統群であり、現在ではほとんどが別科に移されている。現在ユリ科として残っているものは以下のリストに挙げた。このうちカロコルツス亜科やタケシマラン亜科は別科として扱われる場合もある。チューリップやユリ、バイモ、ホトトギスは観賞用としてよく栽培される。
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