1, 2. Chaetoceros lorenzianus. 生群体 (帯面). 下田港 (2010.5.15). Scale bar = 50 µm.
オクロ植物門 珪藻綱 キートケロス目 キートケロス科
Chaetoceros lorenzianus Grunow 1863
Synonym:

細胞はまっすぐな群体を形成する。蓋殻は長楕円形、長径 7-80 µm。帯面では四角形。隣接細胞は蓋から末端の突出部でのみつながり、細胞間隙は楕円形。葉緑体は4-10個、盤状、黄褐色。刺毛内に葉緑体はない。

殻頂縁両極から2本の長い刺毛が反対側に伸びている。隣接細胞同士の刺毛は基部のみで交叉する。刺毛には小孔が分布し、明瞭な紋様がある。群体末端の刺毛はやや太く、途中で曲がることはなく広がる。休眠胞子の片面(初生殻)は2カ所突出し、その先端が複雑に分枝する。

近似種にC. decipiens Cleve 1873 がある。この種では隣接細胞同士の刺毛が重なっている部分が長く、刺毛上の紋様は明瞭ではない。また群体末端の刺毛は明らかに他よりも太く、最初側方へ伸びてから上方へ曲がる。日本でふつうに見られる個体は多くの点でC. lorenzianusの特徴に合致するが、群体末端の刺毛の形態はむしろC. decipiensに似ていることが多い。両種の違いはときに不明瞭で、中間型も知られている (Rines & Hargraves 1988)。

暖水域に広く分布する。

参考文献 References