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葉(leaf)は茎に側生する器官であり、光合成を担っているものが多い。維管束植物ではふつう葉は扁平で光を十分受け取れる形をしている。
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葉の構成要素
葉は基本的に葉身、葉柄、托葉の3要素からなるが、これらのうち1または2つを欠くものも少なくない。
- 葉身(lamina, blade)
- 葉の本体であり、光合成の主要な場となっている。例は少ないが、アカシアやタクヨウレンリソウ(マメ科)のように葉身が退化して葉柄や托葉が大きくなるものもある。このような葉を偽葉または仮葉(phyllode, phyllodium)とよぶ。また単子葉植物の葉は葉身を欠き、葉身状の部分は双子葉植物の葉柄やその基部に相当するとの考え方もある(偽葉説 phyllode theory)。葉身の形や鋸歯(serration)・切れ込み(lobe)の有無・形は重要な分類形質である。また葉柄がない場合、葉身が茎にどのようにつくかも重要な形質となる。
- 葉柄(petiole)
- 葉身と茎をつなぐ柄状の構造であり、茎と葉身の間の水・栄養分・同化産物の通路となり、また葉身を支える役目も果たす。葉柄をもつ葉を有柄葉(petiolate leaf)とよぶが、裸子植物(イチョウ属とグネツム属を除く)、ナデシコ属(ナデシコ科)、リンドウ属(リンドウ科)、ユリ属(ユリ科)など葉柄をもたない葉も少なくない。このような葉を無柄葉(sessile leaf)とよぶ。スグリ(スグリ科)のように葉身が落ちた後も葉柄のみが残り、木化してとげ(葉針)になることもある。またナンテン(メギ科)やセリ科では葉柄の基部が肥大して鞘状(葉鞘)になり、葉の付け根にある腋芽を保護する。
- 托葉(stipule)
- 葉の基部付近に生じる一対の葉的な器官。被子植物では、托葉は木本の40%、草本の20%に存在するといわれる。托葉は芽生えのときの葉身を保護しており、モクレン属(モクレン科)やクワ(クワ科)などのように葉身の成長と共に落ちてしまう早落性 (caducous, fugacious) の托葉が多いが、ユリノキ(モクレン科)やエンドウ(マメ科)のように長く残って(宿存性 persistent)盛んに光合成を行うものもある。托葉の落ちた跡がある場合、これを托葉痕という。托葉の形やつき方は多様であり、以下のようなものがある。
- 側生托葉(adnate stiple)
- 葉柄基部に付き、離生するもの。サクラ属(バラ科)、エンドウ属(マメ科)、スミレ属(スミレ科)などに見られる。
- 合生托葉(adnate stiple)
- 葉柄に沿って合着するもの。バラ属(バラ科)などに見られる。
- 葉間托葉(interfoliar stiple)
- 対生葉の相対する托葉が合着しているもの。イラクサ(イラクサ科)やアカネ属(アカネ科)などに見られ、アカネやヤエムグラ(アカネ科)などでは合着してできた托葉が普通葉と全く同じ形をしており、腋芽の有無のみで区別できる。
- 托葉鞘(ochrea)
- 癒合して鞘状になり、茎を取り巻くもの。タデ属(タデ科)などに見られる。
- 托葉針(stiplar thorne)
- 針状になったもので、ニセアカシア(マメ科)などに見られる。
- 托葉巻ひげ(stiplar tendril)
- 巻ひげになったもので、サルトリイバラ(サルトリイバラ科)などに見られる。
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葉鞘
葉の基部で茎を取り巻いている部分を葉鞘(leaf sheath)という。葉鞘をもつ葉を有鞘葉(sheathing leaf)とよび、単子葉植物に多く見られる。葉身が発達せず、葉鞘だけからなる葉もときに見られ、鞘葉(sheath leaf)とよばれる。また地下茎から出た多数の葉鞘が重なり合って茎のようになるものがあり、偽茎(pseudostem)とよばれる。偽茎はネギ(ネギ科)に典型的なものが見られる。イネ科やカヤツリグサ科では葉身と葉鞘の連続部の向軸側に膜質の付属物があり、葉舌(ligule)とよばれる。葉舌の形態は重要な分類形質になっている。
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葉枕
葉柄または小葉柄の基部が膨らんだ構造を葉枕(pulvinus, leaf cushion)という。マメ科やカタバミ属(カタバミ科)、ヤマノイモ科の葉枕は葉の睡眠運動に関与している。またマツ科のトウヒ属やツガ属では葉柄はないが、葉の基部直下の枝の組織が隆起しており、葉枕とよばれる。
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葉の背腹
葉にはふつう表裏、つまり背腹性(dorsiventrality)があり、ふつう芽の中の向軸側(adaxial side)が表(上面 upper side)、背軸側(abaxial side)が裏(下面 lower side)になる。葉身の表裏の違いによって葉には以下のタイプにわけられる。
- 両面葉(bifacial leaf)または背腹葉(dorsiventral leaf)
- 葉身に表裏の区別があるもの。大部分の葉がこれにあたる。ふつう向軸側が上面であるが、ウラハグサ(イネ科)のように基部でねじれて向軸側が下面になることもある。
- 等面葉(equifacial leaf)
- 外見上、葉身に表裏の区別がほとんどないもの。維管束などの内部の背腹性は残っている。マツ(マツ科)やスイセン(ヒガンバナ科)、ユーカリ(フトモモ科)、ガマ(ガマ科)などに見られる。
- 単面葉(unifacial leaf)または双同側形葉(isobilateral leaf)
- 葉身が二つ折れや管状になって一方の面(背軸面)だけが見えるもの。アヤメ(アヤメ科)、ネギ(ネギ科)などに見られる。
葉身と同様、表裏の違いによって葉柄にも以下の2型がある。
- 両面葉柄(bilateral petiole)
- 外形や内部構造に表裏がある葉柄。多くの葉は両面葉柄をもつ。
- 単面葉柄(unilateral petiole)
- 外形や内部構造に表裏がない葉柄。ポプラ(ヤナギ科)などに見られる。
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葉脈
葉の維管束を葉脈(vein)といい、外見からは葉身に存在する筋として認識することができる。
- 主脈(main vain)
- 太さの異なる複数の葉脈があるとき、最も太い葉脈を主脈という。主脈は一次脈(primary vein)とよばれることもある。主脈はふつう葉の中央を走っており、中央脈(central vein)と一致するが、ヤツデ(ウコギ科)のような掌状の分裂葉では各裂片に主脈はあるが、葉の中央脈はない。また多くの単子葉植物のように平行脈をもつ葉では、ふつう主脈ははっきりしない。主脈の走る部分は線状に隆起していることがあり、中肋(midrib)という。
- 側脈(lateral vein)
- 主脈から派生する葉脈のことを側脈といい、分岐の順に一次側脈(primary lateral vein)、二次側脈(secondary lateral vein)....のようによばれる(それぞれ二次脈、三次脈....ということもある)。
- 細脈(veinlet)
- 主脈や側脈から生じてその間を結んだり、網目をつくったり、末端に遊離している細い脈を細脈という。細脈のつくる末端の網目は最終区画(ultimate areole)、最終区画の内外に遊離する葉脈を脈端(vein ending)という。
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脈系
葉脈の配列のことを脈系(venation)といい、そのタイプはさまざまであるが、種によって一定の脈系を示す。
- 網状脈系(reticulate venation)
- 主脈、側脈、細脈などが互いに結合して網目をつくる脈系のこと。
- 羽状脈系(pinnate venation)
- 主脈からでる一次側脈系が羽状に列ぶ脈系。最もふつうに見られる脈系で、サクラ(バラ科)、ケヤキ(ニレ科)、クリ(ブナ科)、ヤマボウシ(ミズキ科)などに見られる。
- 掌状脈系(palmate venation)
- 中央脈が無く、主脈が掌状に列ぶ脈系。クスノキ(クスノキ科)やカラスウリ(ウリ科)のように主脈が3本あるものはとくに三行脈といい(この場合は中央の主脈がはっきりしているのでこれを中央脈、両脇の2本を側脈とすることが多い)、カナムグラ(クワ科)やイロハモミジ(ムクロジ科)に見られるように多数の主脈があるものは多行脈とよばれる。
- 鳥足状脈系(pedate venation)
- 掌状脈と同様、主脈が掌状に列ぶが、最下の主脈から他よりも明瞭な一次側脈が出ている脈系。ウマノアシガタ(キンポウゲ科)などに見られる。
- 平行脈系(parallel venation)
- 多数の主脈が平行に走る脈系。典型的には縦脈間をつなぐ横脈はない。単子葉植物に一般的な脈系である。
- 二又脈系(dichotomous venation)
- 葉脈が二又に分かれて網目を形成しない脈系。大葉においては原始的な脈系と考えられており、ウラボシ類やイチョウに見られる。
- 単一脈系(simple venation)
- 葉または小葉の中央に主脈が1本だけあって分枝しない脈系。ヒカゲノカズラ類や多くの裸子植物、ガンコウラン(ツツジ科)などに見られる。
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葉の起源
陸上植物において、葉は単一の起源をもつ器官ではない。維管束植物の葉はその起源に注目して大葉と小葉に分けられる。
- 大葉(macrophyll, megapyll)
- 葉の維管束(葉跡)が茎の維管束から分かれるときに、茎の維管束に隙間、つまり葉隙(leaf gap)を生じる葉。一般に大形扁平で葉脈は複数・分枝するものが多い。ウラボシ綱や種子植物などヒカゲノカズラ綱以外の維管束植物に見られ、これを大葉類という。ただし、一般的にはこれら全ての大葉が同一起源であるとは考えられていない。マツ(球果類)やガンコウラン(ツツジ科)のような単純な葉でも大葉である。起源としては、原始的維管束植物の構成単位であるテローム(telome)(1本の維管束をもち二又分枝する枝)が癒合・扁平化したものだと考えられることが多い(テローム説 telome theory)。
- 小葉(microphyll)
- 茎の維管束に葉隙を生じない葉。ふつう小形で葉脈は1本しかない(単一脈系)が、イワヒバ属のある種や化石種の中には分枝する脈系を持ったものもいる。小葉をもつ維管束植物は現生のものとしてはヒカゲノカズラ綱(ヒカゲノカズラ類・イワヒバ類・ミズニラ類)のみがあり、小葉類とよばれる。テローム上の刺状突起(enation)に起源をもつものとする考え(突起起源説 enation theory)が有力であるが、テロームが退行したものとする考えもある。
コケ類も"葉"をもつものが多い。しかしこの"葉"は配偶体につき、維管束を欠くなど維管束植物の葉とは本質的に異なる器官である。
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