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分子系統

アミノ酸や核酸などの分子は情報高分子ともよばれ,アミノ酸や塩基の配列として情報を保存しています。生命の発生以来,生物は共通の分子を用いて生活し,進化してきました。同一の働きをもつ多くの酵素や構造タンパク質が人間にも植物にも細菌にも存在しています。これらの相同な分子のアミノ酸や塩基の配列は生物の間でさまざまな度合いで違いがみられます。しかも,近縁な生物の間では違いが少なく,類縁の薄い,つまり古い時代に分かれたと考えられる生物の間では大きな違いがみられます。このことは生物が進化し,さまざまな生物群に分化してきた過程で,同一の祖先分子から突然変異を経て生物群の数だけ多様に分化した子孫分子が存在することを示しています。分子進化学の成果です。

さまざまな遺伝子やタンパク質には系統についての情報が残されているといえます。こうして分子情報に基づいて生物の系統を明らかにする試みがはじまりました。分子系統学です。

遺伝子やタンパク質などの情報分子が系統解析の道具として優れている点として次のことがあげられます。

遺伝子の平行移動などを考慮する必要があります。rbcL

遺伝子の配列,イントロン

使用コドンの変化など 

分子の形質の違いは大部分が点突然変異によるもので直接形態の違いに反映するものではないと考えられますから,基本的に分子形質と形態形質は独立のものといえます。したがって,分子情報から得られた推定される系統樹と,形態形質から得られた系統樹が一致すれば,二つの独立したデータのセットが互いに結果を補強したことになります。形態形質と分子情報は相互補完の関係にあるといえます。