窒素固定と根
nitrogen fixation & root

植物体においてはふつう地中にあるため、など地上のシュート系に較べると、細菌や菌類など微生物と関わることが多い。特に根の周囲 (根圏 rhizosphere) には、周囲の土壌よりも多くの微生物が生育している。根圏に生育する微生物は、根を通じて植物と密接に関わっていることがある。病原菌として植物の生育を妨げることもあるが、栄養塩の摂取などを通じて植物に利益を与えるものも多い。

窒素固定細菌の共生

植物の必要とする無機養分の多くは、土壌の母岩中に含まれているが、窒素はほとんど含まれていない。植物が利用する窒素の多くは、微生物により空気中の窒素分子が固定 (窒素固定 nitrogen fixation) されたものに起源をもつ (図1)。生態系の窒素の65%は生物窒素固定によるものだといわれる。

生物による窒素固定は、ニトロゲナーゼ複合体という酵素複合体によって触媒される。この複合体はジニトロゲナーゼ (dinitrogenase; Mo, Fe-タンパク; 遺伝子はnifD, nifK) とジニトロゲナーゼレダクターゼ (dinitrogenase reductase; Fe-タンパク; 遺伝子はnifH) という2種類の酵素とFe, Mo-cofactorとP-cluster pairという2種類の補助因子、およびフェレドキシン (ferredoxin, Fdxred) やフラドキシン (flavodoxin) のような電子供与体からなる。電子供与体によってジニトロゲナーゼレダクターゼが還元され、P-cluster pair、Fe, Mo-cofactorの順に電子が伝達される。最終的にジニトロゲナーゼの活性部位に結合しているN2に高エネルギー電子が供給される。この結果、基質のN2はアンモニア (NH3) へ還元され、同時にH+を還元してH2が発生する。 ニトロゲナーゼ複合体での生化学反応は以下のようになる。

N2 + 16ATP + 8e- + 8H+ → 2NH3 + H2 + 16ADP + 16Pi

このように窒素固定には多量のエネルギー (ATP) を必要とする。またニトロゲナーゼは酸素に極めて弱く、容易に活性を失ってしまう。窒素固定能は真核生物には存在せず、原核生物のみに見られる。Clostridium (グラム陽性細菌) やSynechococcus (シアノバクテリア) など、土壌や水中で自由生活しながら窒素固定するものも多い (独立性窒素固定細菌)。また植物と密接な関係を保ちつつ、固定したアンモニアを植物に渡す共生関係を築く固定細菌 (共生的窒素固定細菌) もいる。

根は窒素を含む無機栄養分の吸収を担っており、窒素固定を行う微生物と特殊な関係を築いていることがある。最もよく知られているのはマメ科に見られる根粒細菌による根粒であるが (後記参照) 、ほかにも下記のようにさまざまな例がある。

根はその一部 (根冠根毛) やさまざまな物質を周囲の土壌に供給し、根の周囲に根圏 (rhizosphere) とよばれる特殊な環境をつくりだしている (後記参照) 。根圏には周囲の土壌より多くの微生物 (細菌や菌類) が生育しており、植物と特殊な関係を築いていることがある。植物種によっては、根圏に AzotobacterKlebsiellaEnterobacter (γ-プロテオバクテリア)、Azospirillum (α-プロテオバクテリア) など窒素固定能をもった細菌が多く生育しており、植物と緩い共生関係を築いていることがある。熱帯の草原ではこれらの細菌が多く、窒素固定に大きく寄与しているといわれる。またイネやトウモロコシ、コムギ (イネ科) などの作物では根圏における窒素固定についてよく調べられている。

サトウキビやイネ (イネ科) 、ヤシ (ヤシ科) 、サツマイモ (ヒルガオ科) 、チャ (ツバキ科) 、コーヒー (アカネ科) などでは、根 (ときに茎や葉) の中に窒素固定能をもった細菌が生育していることが最近になって知られてきた。このような細菌はエンドファイト窒素固定細菌 (N2-fixing endophyte) とよばれている。エンドファイト窒素固定細菌としては Acetobacter, Azospirillum (α-プロテオバクテリア), Alcaligenes (β-プロテオバクテリア) などが知られ、植物の細胞間隙導管内に生育している。これらの細菌の存在は植物体の高成長をもたらすが、その仕組みについてははっきりしてない点が多い。

Frankia (放線菌) は根に共生する窒素固定細菌として単離された。Frankiaと植物との共生はアクチノリゼ共生 (Actinorhizae) とよばれ、ハンノキ (カバノキ科) 、ドクウツギ (ドクウツギ科) 、ヤマモモ (ヤマモモ科) 、キイチゴ (バラ科) 、グミ (グミ科) 、モクマオウ (モクマオウ科) などの根の細胞内に侵入して瘤を形成する。この構造は根の構造や組織を維持したまま、側根が伸長せずに膨大したものであり、マメ科の根粒 (後記参照) とは異なる。このタイプの根粒をハンノキ型根粒とよぶこともある。Frankia の共生は比較的特異性が高いようで、特定の細菌株が共生可能な植物は1〜数属に限られる。

ソテツ類は サンゴ状根 (coralloid root, apogeotropic root) とよばれる特殊な根をもつ。この根は向地性をもたず、上方へ成長して地表で二又分岐することによってサンゴ状の塊を形成する。この根の皮層細胞間隙は粘液質で占められているが、ここには窒素固定を行うシアノバクテリア (藍藻) である Anabaena cycadea が共生している。窒素固定能をもつシアノバクテリアと共生するものとしては他にもツノゴケ類の葉状体内、アカウキクサ (ウラボシ綱) やGunnera (グンネラ科) の葉などが知られている。多くは細胞外共生だが、Gunnera葉柄基部では細胞内に侵入する。これらシアノバクテリアはヘテロシスト (heterocyst) ととよばれる窒素固定用に特殊化した細胞をもっており、酸素傷害からニトロゲナーゼ活性を守っている。

図1. 地球上の窒素循環

根粒

マメ科のほとんどの種では、根に根粒 (root nodule) とよばれる特殊な構造を形成している。この内部には根粒細菌 (rhizobia, legminous bacterium, root nodule bacterium) とよばれる窒素固定能をもったバクテリアが共生してバクテロイド組織 (根粒組織) をつくっている。バクテロイド組織は感染細胞 (infected cell) と非感染細胞からなる。根粒細菌は土壌中では窒素固定能を示さず、根と共生して初めて窒素固定を行うようになる。この状態の根粒細菌は変形しており、バクテロイド (bacteroid) とよばれる。

根粒細菌は、植物から供給されるエネルギー源 (ジカルボンサン酸) を酸化的リン酸化して得られたATPを用いて空気中の窒素を固定してアンモニアに変える。アンモニウムイオンは植物の根に取り込まれ、アミノ酸 (アミド型) 、さらにウレイド化合物 (ウレイド型) となって輸送される。窒素固定には大きなエネルギーが必要であり (上記参照)、植物の光合成によるエネルギーの20%以上が使われるといわれる。

根からの分泌されたフラボノイド化合物やイソフラボン化合物 (図2) を感知した根粒細菌が根の表面に集合し、ノドュレイション遺伝子 (nodulatin genes, nod) を発現してNod因子 (Nod factor) とよばれる物質 (図3) を生成・分泌する。これが引き金となって植物の根粒形成 (nodulation) が始まる。逆に利用可能な窒素源 (アンモニウムイオン、硝酸イオン) が多いときには、これらが負の因子となって根粒形成が阻害される。Nod因子とによって植物のさまざまな遺伝子 (ノデュリン遺伝子 nodlin genes) が発現して、根粒原基が発生・成長するとともに、根粒細菌の取り込みが行われる。根粒細菌は根毛にできた感染糸 (infection thread) とよばれるトンネルを通じて根の中に入り込み、根粒を形成する。根粒の原基はふつう根の皮層 (木部に相対する位置) に形成されるが、ラッカセイでは側根原器と同様に内鞘に形成される。根粒には維管束系 (根粒維管束) も発達し、根粒細菌に糖を供給すると同時に、根粒細菌の合成した窒素化合物を植物体地上部に送っている。

マメ科では植物種によって根粒の発生・形態に変異が見られ、大きく分けて2つの型、無限型 (indeterminate type) と有限型 (determinate type) に分けられる (表1) 。無限型の根粒は内側の皮層組織に原基が形成され、頂端部が分裂組織となって成長を続けるため、細長い形になる。有限型の根粒は外側の皮層組織に原基が形成され、全体的に肥大成長するが、根粒表層付近では分裂を繰り返して大型化する。

マメ科の中で、マメ亜科とネムノキ亜科に属する種のほとんどは根粒を形成するが、ジャケツイバラ亜科では根粒を形成する種は20〜30%ほどである。水生のマメ科植物 (Sesbania, Aeschynomene, Neptuniaなど) では、気根に根粒構造ができることがあり、"茎粒" (stem nodule) とよばれる。またマメ科以外にも、Parasponia (ニレ科) の根に根粒が形成されることが知られている。この根粒は内鞘起源であり、マメ科のふつうの根粒とは異なり内皮に囲まれた維管束が中心にあり、バクテロイド組織はその周辺にある。

根粒を形成する根粒細菌は、以前すべてRhizobium属に分類されていたが、培地上での生育状況、資化性、抗生物質耐性、共生関係遺伝子の存在様式および分子系統学的研究などから、いくつかの属に分けられるようになった (表2) 。これらは全てα-プロテオバクテリアンのリゾビウム目 (アグロバクテリウムなども含まれる) に含まれるが、系統的には互いにかなり遠縁である。自然界では、根粒細菌間または非根粒細菌との間で、プラスミドなどを介した遺伝子の水平転移が盛んに行われているのかもしれない。

マメ科植物ー根粒細菌における根粒形成の種特異性はかなり高い。このような高い種特異性にはNod因子の種類が最も重要であるが、他にも根粒細菌の細胞外多糖 (exopolysaccharide, exo遺伝子) なども関与している。しかし例外もあり、インゲンやダイズのように複数種の窒素固定細菌と根粒を形成するものもあるし、特定の根粒細菌が複数種の植物と根粒を形成することもある。

マメ科型の根粒形成には、根粒細菌と植物の間の信号のやりとりと、双方における複雑な遺伝子・物質の協調がはたらく。これにはまだ解明されていない部分もあるが、以下にその概略を記す。

第1段階:根粒細菌による植物因子の認識とNod因子の合成
根粒細菌は土中で自由生活をしており、根粒を形成するためには、植物の根の周辺に集合しなければならない。この集合には2つの機構が想定されている。1つは走化性であり、根から分泌されたフラボノイド化合物などの物質に集まる。もう1つは走電性であり、古い根から新しく伸長中の根へと流れる電流に沿って移動する。マメ科植物は土壌中に種特異的なフラボノイド化合物 (図) を分泌しており、根粒細菌がもつNodDタンパク質がこのフラボノイド化合物と複合体を形成する。これらフラボノイド化合物に対する根粒細菌の特異性はあまり高くない。NodDタンパク質ーフラボノイド化合物複合体は転写調節因子となり、根粒細菌がもつ一連の根粒形成遺伝子 (nod遺伝子) が発現する。これらの根粒形成遺伝子がコードする酵素によって、Nod因子とよばれるリポキチンオリゴ糖 (lipooligochitin) が合成される。この過程ではまずNodC (キチン合成酵素) によって、N-アセチル-D-グルコサミンの数分子がβ-1,4結合した基本骨格が合成される。次にNodBによって非還元末端の糖残基が脱N-アセチル化され、そこにNodAによってアシル基 (脂肪酸) 転移が行われて基本構造が完成する (図) 。nodA, nodB, nodCは、転写調節因子遺伝子であるnodDとともにすべての根粒細菌に存在し、共通nod遺伝子 (common nod genes) とよばれている。転移される脂肪酸の炭素数、不飽和結合数は種によって異なる。またさまざまな種特異的nod遺伝子 (nodE, F, G, H, L, P, Q S, U, Zなど) の産物によってNod因子の還元末端糖残基は硫酸基やアセチル基、フコース、アラビノース等によって修飾され、また非還元末端にもアシル基とは別にカルバミル基やアセチル基が付加される場合がある。これら両末端糖側鎖の多様性 (特に還元末端) が宿主特異性の大きな部分を支配している。やがて根の周辺に集合した根粒細菌は根毛に付着する。この過程には2種類の物質が大きく関与しており、1つは植物体表面のレクチン (lectin) 、もう1つは根粒細菌の細胞外被多糖である。これらの物質も植物ー根粒細菌の種特異性に寄与している。
第2段階:宿主植物によるNod因子の認識と根粒菌の感染、根粒器官形成
植物の根毛がNod因子を認識するが、このシステムは複雑なようで不明な点も多い。この認識は非常に敏感であり、Nod因子が10-9〜10-12Mという極めて低濃度であっても植物体は正常な反応を示す。Nod因子が認識されると、根毛の細胞膜が脱分極し、細胞内がアルカリ化する。ついで細胞内にCa2+が流入し、Ca2+スパイキングが発生する。その後、数時間で根毛の細胞骨格が再配列し、根毛が屈曲 (カーリング carling) または分枝を始める。また木部からウリジンなどが供給されることによって、根の皮層における分裂能が復活する。逆に篩部からのエチレン供給は負の因子として働き、根粒形成が阻害される。カーリングした根毛の先端が陥入し、感染糸とよばれるトンネルを形成する。根粒細菌は活発に分裂しながら、伸長していく感染糸を通って分裂能を回復した皮層細胞に達する。根毛を経ずに表皮の隙間や傷から侵入することもある (Sesbania rostrataやラッカセイ) 。根粒細菌はエンドサイトーシスによって皮層細胞に取り込まれ、しばらく活発に分裂した後に分裂能を停止し、窒素固定遺伝子 (nif) やその制御遺伝子 (fix) が発現して窒素固定を始める。このとき根粒細菌はバクテロイド (bacteroid) とよばれる特異な形態に変化し、ペリバクテロイド膜 (peribacteroid membrane, symbiosome membrane) に囲まれている。感染細胞は細胞分裂が停止し、急速な肥大成長、核内DNA倍加 (endoreduplication) が起こる。またバクテロイド周辺ではレグヘモグロビン (leghemoglobin) とよばれる酸素結合型タンパク質がつくられ、ニトロゲナーゼが失活しないように酸素濃度を下げると同時に、根粒細菌が好気呼吸をするのに必要な酸素を供給する。レグヘモグロビンの存在のため、バクテロイド組織は赤色を呈する。窒素固定によって生じたアンモニアは、バクテロイド内またはバクテロイドとペリバクテロイド膜の間 (peribacteroid space) でアンモニウムイオンとなり、これが根細胞に輸送される。根の中でアンモニウムイオンはグルタミン酸と結合してグルタミンとなる。

図2. マメ科植物が出すフラボノイドおよびイソフラボン化合物. ルテオリン (luteorin) はアルファルファ、ナリンゲニン (7,4-dihydroxy flavone) はシロツメクサ、ダイゼイン (genisterin) はダイズから分泌される.

根粒細菌 n R1 R2 R3 R4 R5 R6 R7
R.leguminosarum bv. viciae 2-3 Ac H H C18:11
C18:2,4,6,11
H H H
R.leguminosarum bv. trifolii 2-3 Ac H H C18:2
C18:3
H H H
S. meli 1-3 Ac H H C16:2,9
C16:2,4,9
H Sulfate H
B. japonicum 3 Ac H H C18:9
C16:0
C16:
H MeFuc H
R. fredii 1-3 H H H C18:11 H MeFuc, Fuc H
図3 Nod因子の基本構造 (上図) とその多様性 (下表) . Me:メチル基, Ac:アセチル基, Fuc:フコシル基, Cb:カルバミル基, MeFuc:2-O-メチルフコシル基, Gro:グリセロール基.
  無限型根粒 有限型根粒
代表種 アルファルファ、シロツメクサ
レンゲ、エンドウ
ダイズ、インゲン、ミヤコグサ
分布 温帯地域 亜熱帯〜熱帯域
NodD認識物質 フラボン、フラバノン おもにイソフラボン
感染糸 細い ふつう太い
原基の場所 内側の皮層 外側の皮層
成長様式 頂端の分裂組織
による先端成長
細胞分裂による
肥大成長
転流形態 アミド型 ふつうウレイド型
形態
B = 根粒菌感染領域. C = 皮層. E = 内皮. M = 分裂組織. V = 維管束.
表1. 無限型根粒と有限型根粒 (川口・今泉 2000)
図4. 根粒における窒素の流れ. AMT, EXCR = アンモニウムイオン輸送タンパク. ATPase = プロトンポンプ. BM = バクテロイドの細胞膜. GS = グルタミンシンテターゼ. PBS = ペリバクテロイドスペース (peribacteroid space). PM = ペリバクテロイド膜.
特徴
リゾビウム目
Rhizobiales

他に
Aurantimonadaceae (Fulvimarinaなど)
Bartonellaceae (Bartonellaなど)
Beijerinckiaceae (Beijerinckiaなど)
Brucellaceae (Ochrobactrumなど)
Hyphomicrobiaceae (Hyphomicrobiumなど)
Methylobacteriaceae (Methylobacteriumなど)
Methylocystaceae (Methylocystisなど)
Xanthobacteraceae (Azorhizobiumなど)
リゾビウム科
Rhizobiaceae

他にAgrobacteriumなど
Rhizobium R. etli [インゲン]
R. galegae (Galega)
R. gallicum
R. giardinii
R. hainanense
R. huautlense
R. indigoferae
R. leguminosarum [ソラマメ、エンドウ、インゲン、クローバーなど]
R. loessense = R. huanglingense
R. lupini
R. mongolense
R. sullae = "R. hedysari
R. tropici [インゲン、ギンネム、Macroptilium]
R. undicola = Allorhizobium undicola
R. yanglingense
2種類のメガプラスミド
根粒関連遺伝子は小メガプラスミド上
周鞭毛または亜極鞭毛
YMA培地での生育早い
YMA培地へ酸放出
Ensifer =
Sinorhizobium
E. adhaerens = S. morelense
E. americanus
E. arboris
E. fredii [ダイズ、ツルマメなど]
E. kostiense
E. kummerowiae
E. medicae [アルファルファ, Melilotus, Trigonella]
E. meliloti
E. saheli = S. sahelense
E. terangae = S. teranga
E. xinjiangense
2種類のメガプラスミド
根粒関連遺伝子は小メガプラスミド上
YMA培地での生育早い
ブラディリゾビウム科
Bradyrhizobiaceae

他にNitrobacterなど
Bradyrhizobium B. canariense [Genisteae、Loteae]
B. elkanii [ダイズ、ツルマメなど]
B. japonicum = R. japonicum[ダイズ、ツルマメなど]
B. liaonigense [ダイズ]
B. yuanmingense [Lespedeza]
メガプラスミドなし
根粒関連遺伝子は染色体上
極鞭毛または亜極鞭毛
YMA培地での生育は遅い
YMA培地にアルカリ放出
フィロバクテリア科
Rhyllobacteriaceae

他にPhyllobacteriumなど
Mesorhizobium M. amoephae
M. chacoense
M. ciceri = R. ciceri
M. huakuii = R. huakuii [レンゲソウ]
M. loti = R. loti [ミヤコグサ]
M. mediterraneum = R. mediterraneum
M. plurifarium
M. septentrionale
M. temperatum
M. tianshanense = R. tianshanense
2種類のメガプラスミドあり
根粒関連遺伝子は染色体上
YMA培地での生育は中間的
YMA培地に酸放出
ハイフォミクロビウム科
Hyphomicrobiaceae
Azorhizobium A. caulinodans [Sesbania rostrata]
ゲノム構成は不明
周鞭毛
生育は遅い
乳酸利用、マンニトール資化できず
表2. 現在までに知られている根粒細菌. *[ ]内は宿主植物. (Weir 2005. rhizobia taxonomy.)

根圏と微生物

根はその破損した部分 (根冠根毛) やさまざまな物質を周囲の土壌に供給し、根の周囲に根圏 (rhizosphere) とよばれる特殊な環境をつくりだしている。根圏ではさまざまな微生物の増殖が促進され、周囲の土壌とは異なる環境になっている。根圏とはもともと根の表面から周囲数mmの範囲を指していたが、意味が拡張されて根の中も含めることがある。この広い意味での根圏は、以下のように分けることができる。

endorhizosphere
根の表皮や皮層の細胞間隙など根の内部環境。
rhizoplane (根面)
根の表面。
exorhizosphere
根の周辺の土壌領域。

根圏には植物病原菌や植物の成長を促進する微生物、その他の微生物が複雑に絡み合い、植物の生育に大きな影響を与えている。

根圏に生育する細菌や菌類の中には、植物の生育を促進するものがあり、それぞれ植物生育促進根圏細菌 (plant growth-promoting rhizobacteria, PGPR) 、植物生育促進菌類 (plant growth-promoting fungi, PGPF) とよばれる。PGPRには PseudomonasEnterobacterSerratia (γ-プロテオバクテリア)、Bacillus (バチルス類) などが知られ、PGPFには TrichodermaPhomaFusarium (子嚢菌類)、Rhizoctonia (担子菌類)、Rhizopus (接合菌類) などがある。PGPRやPGPFは根への定着能が高く、その存在によって植物の生育が良化する。例えば、ジャガイモ (ナス科) は、PGPRであるPseudomonasの存在によって、収量が18〜37%増加することが報告されている。

PGPRやPGPFによる植物生育促進の原因としては主に以下の3つが考えられている。

土壌有機物の分解
土壌中の有機物を分解し、植物が吸収しやすい形態に変換する.....