[分類形質と分類系] [ミトコンドリア] [葉緑体] [細胞外被] [鞭毛] [鞭毛装置] [貯蔵物質]
[分子系統] [藻類の分類系]

葉緑体:灰色植物 Glaucophyta
[原核藻類の光合成装置] [灰色植物のシアネレは葉緑体か] [藍藻に似たもうひとつの葉緑体:紅色植物] [フィコビリンをもち,フィコビリソームをもたない葉緑体:紅藻に由来するクリプト藻の葉緑体] [クロロフィルcとフコキサンチンをもつ葉緑体:ストラメノパイルとハプト藻] [クロロフィルcとペリディニンをもつ葉緑体:渦鞭毛藻] [クロロフィルa・bをもつ葉緑体 緑色植物] [3枚の包膜をもつ葉緑体:ユーグレナ植物] [緑のクリプト藻?:クロララクニオン植物の葉緑体]

灰色植物 (Glaucophyta)のシアネレは葉緑体か

灰色植物がもつ光合成を行う細胞内構造はシアネレ (cyanelle)とよばれる。シアネレとは他の生物に共生している藍藻を総称して呼ぶ名称である。しかし,灰色植物の場合は,この細胞内の構造をシアネレとよぶのは適当ではない。この光合成装置は藍藻の共生の後,すでに葉緑体として定着しているものとみるのが妥当である。
 

灰色植物門 Glaucophyta

クロロフィル a

シアネレはペプチドグリカンの壁をもつために藍藻が共生していると考えられてきました。藍藻の細胞壁も2枚の膜の間にあり,ペプチドグリカンだからである。この性質は藍藻に限らず,グラム陰性細菌全体の性質と考えられている。


灰色植物のシアネレの遺伝子は120-140kbほどの大きさで,多くの植物の葉緑体のゲノムサイズにほぼ等しい。しかし,藍藻に較べるとおよそ10分の1の大きさしかない。さらに,シアネレ遺伝子はinverted repeatをもつなどの点や遺伝子の配置も葉緑体に似ている。
シアネレは形態的には藍藻の性質を残しているが,遺伝子の点からみると,葉緑体であるシアネレは形態的には藍藻の性質を残しているが,遺伝子の点からみると,葉緑体であるといってよい。

カロチン β-carotene
キサントフィル zeaxanthin
フィコビリン c-phycocyanin,
c-allophycocyanin


藍藻や紅藻葉緑体と同様に,チラコイド表面にフィコビリソームとして存在
シアネレの構造 2枚の膜に包まれるが,膜の間にペプチドグリカンからなる多糖の壁構造がみられる。