灰色植物 (Glaucophyta)のシアネレは葉緑体か
灰色植物がもつ光合成を行う細胞内構造はシアネレ (cyanelle)とよばれる。シアネレとは他の生物に共生している藍藻を総称して呼ぶ名称である。しかし,灰色植物の場合は,この細胞内の構造をシアネレとよぶのは適当ではない。この光合成装置は藍藻の共生の後,すでに葉緑体として定着しているものとみるのが妥当である。
灰色植物門 Glaucophyta
シアネレはペプチドグリカンの壁をもつために藍藻が共生していると考えられてきました。藍藻の細胞壁も2枚の膜の間にあり,ペプチドグリカンだからである。この性質は藍藻に限らず,グラム陰性細菌全体の性質と考えられている。
灰色植物のシアネレの遺伝子は120-140kbほどの大きさで,多くの植物の葉緑体のゲノムサイズにほぼ等しい。しかし,藍藻に較べるとおよそ10分の1の大きさしかない。さらに,シアネレ遺伝子はinverted repeatをもつなどの点や遺伝子の配置も葉緑体に似ている。 シアネレは形態的には藍藻の性質を残しているが,遺伝子の点からみると,葉緑体であるシアネレは形態的には藍藻の性質を残しているが,遺伝子の点からみると,葉緑体であるといってよい。